/

90年湾岸危機、米大統領「自衛隊派遣を」 外交文書公開

1990年8月の湾岸危機の際、ブッシュ(父)米大統領が海部俊樹首相に対し、自衛隊による米軍の後方支援を求めていたことが22日公開の外交文書や元政府高官の証言で分かった。米大統領が自衛隊派遣を働き掛けた事実は公表されていなかった。

海部政権がその代替策として実施した130億ドルの財政支援の大半は、米国の要求通りで日本自らの積算根拠がなかった実態も判明した。

日本は湾岸戦争への自衛隊派遣には応じなかったものの、戦後貢献策としてペルシャ湾で掃海艇を展開。ブッシュ氏の要求が、日本の安全保障政策に決定的な影響を与えた実情をうかがわせる。

90年9月29日の日米首脳会談を記録した極秘公電によると、ブッシュ氏は多国籍軍の対イラク攻撃を念頭に「日本がFORCES(自衛隊)を参加させる方法を検討中と承知している。有益であり、世界から評価される」と首相に伝達。中東への自衛隊派遣を求めた。

外務省北米局長だった松浦晃一郎元駐フランス大使によると、ブッシュ氏はこれに先立つ8月14日の電話会談の際にも「自衛隊に機雷掃海や装備(武器)輸送をお願いしたい」と述べたという。

一連の会談で、首相は武力行使を禁じた憲法9条を守る必要があるとの認識を示す一方、「汗を流す協力をしたい」と強調。ブッシュ氏への明確な回答を避けつつ、日本の立場に理解を求めた。

代わりに目指したのが非軍事組織の国連平和協力隊を創設し、自衛隊員を一部参加させる妥協策だった。だが11月、その根拠となる国連平和協力法案が世論の反発から廃案となり困難になった。

公電や元政府高官によると、米側が日本に武力行使を事実上通知したのは開戦3日前の91年1月14日。ベーカー国務長官が訪米した中山太郎外相に「米国人が血を流すことになる」との言い回しでひそかに伝えていた。

多国籍軍などへの130億ドル支援のうち90億ドルの追加支援は、米側の求めに応じて支出していたことも分かった。ブレイディ財務長官が橋本龍太郎蔵相とニューヨークで会談した際に要求していた。

複数の元政府高官は「米側の言い値で積算根拠はなかった。他に仕方なかった」と証言した。〔共同〕

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン