「非自民」立維共の争い 京都選挙区、旧民主勢力が分裂
参院選2022注目区の現場から【京都】

改選定数2の京都選挙区はこの20年で自民党が1議席、旧民主党系か共産党の「非自民勢力」がもう1議席を分け合ってきた。
立民「京都のことは京都で」 維新「大阪の改革を全国で」
今回改選を迎えるのは立憲民主党の福山哲郎氏だ。1998年から過去4回連続で当選し、5選をめざす。日本維新の会や共産も非自民の議席奪取を狙う。
福山氏は立民の設立メンバーの一人で、枝野幸男前代表の下で4年余り幹事長を担った。泉健太代表は福山氏の秘書を務めた後、衆院議員に転じた。福山幹事長時代の2021年衆院選に当選した新人議員の有志が自発的に応援に入る。
立民が意識するのは維新だ。「『大阪の改革を京都へ』と言われる筋合いはない。京都のことは京都で決めようじゃないか」。福山氏は24日夜、京都市で聴衆に呼びかけた。
維新は新人の楠井祐子氏を擁立した。「大阪でやっている改革を全国に広げたい」。維新の松井一郎代表は24日、京田辺市で訴えた。
「全国政党」を目指す維新は大阪以外の都市部への進出を目指す。支持の裾野を広げ、野党第1党を目標に掲げる次期衆院選につなげる狙いだ。
京都での議席獲得は維新にとって支持基盤が広がる象徴となる。てこ入れへ大阪に近い地域を重点的に幹部らが連日応援に入る。

カギ握る「前原票」の動向
旧民主の流れをくむ国民民主党は維新に加勢する。率いるのは京都に強い地盤をもち、かつて福山氏と旧民主を支えた前原誠司代表代行だ。維新幹部らと街頭に立って楠井氏を応援する。
前原氏の後援会は比例代表は国民民主、選挙区は「新しい政治を目指す女性候補者名」とのポスターを張る。「前原票」が選挙戦のカギを握る。
旧民主勢力が分裂する背景には、野党再編をめぐる主張の違いがある。前原氏は「政権交代のために維新と協力しなければいけない」と語る。立民が「枝野―福山」体制時に共産と選挙で協力した経緯を挙げ「我々は国家観が共産党とは相いれない」と説明する。
旧民主を支援してきた連合は福山氏を推薦する。もっとも自動車総連や電力総連など自主投票を決めた民間の労働組合もある。「原発ゼロなどを主張する立民に投票できない組合員は少なからずいる」。連合京都の幹部は実情を話す。
非自民の議席に絡むもうひとつの勢力は共産だ。「大激戦の京都で私を勝ち抜かせてください」。公認候補の新人、武山彩子氏は府内をこう唱えて回る。
京都府政は1978年まで28年にわたり革新系の知事が就くなど伝統的に共産が強い。京都市議会は今でも自民党に次ぐ第2会派を構成する。13年と19年の参院選は共産候補が勝利した。
自民府連幹部「敵は維新」と危機感
野党候補が乱立するなかで自民も盤石とは言い切れない。現職の二之湯智防災相が引退し、新人で元京都市議の吉井章氏が後継候補として出馬した。知名度不足が課題となる。府内を街頭演説し「子どもたちが将来に希望のもてる日本をつくりたい」と訴える。
維新への警戒感は自民もまた同じだ。「今回の選挙で維新勢力を伸長させないことが一番大事。はっきり言って敵は維新だ」。府連会長の西田昌司参院議員は力説する。
京都府内で維新候補が勝利した衆院小選挙区と参院選挙区はまだない。主要政党の思惑が交錯する選挙戦は中盤戦を迎える。

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