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台湾の有事想定初記載、防衛白書「中国の圧力一段と」

防衛省は22日、2022年版の防衛白書を公表した。岸信夫防衛相は白書巻頭の言葉で初めて台湾に言及した。中国が台湾統一へ武力行使も辞さない構えを見せ「地域の緊張が高まりつつある」と明記した。台湾側の有事想定を初記載した。

白書の本文で台湾情勢に割くページ数は2倍に増やした。中国と台湾が衝突すれば日本への影響は避けられない。米国はロシアによるウクライナ侵攻後も中国の脅威への対応を最優先に掲げる。

中国と台湾の軍事バランスを巡って白書は「中国側に有利な方向に変化し、差は年々拡大する傾向」だと解説した。

台湾の国防費はこの20年間ほぼ横ばいで、中国は台湾の少なくとも17倍に増やした。中国は台湾を射程に収める短距離弾道ミサイルを1000発ほど保有し、台湾に「有効な対処手段が乏しいとみられる」と指摘した。

台湾側のシナリオも初めて取り上げた。中国による侵攻が①中国沿岸への軍の集結と「認知戦」による台湾民衆のパニック②重要施設へのミサイル発射やサイバー攻撃③強襲揚陸艦などで着上陸――の3段階で起きるとの予測だ。

中国軍は陸海空だけでなく宇宙やサイバー、認知などの領域を含めた一体的な戦いを想定し、先端技術の取りこみを急いでいる。軍事的手段とサイバー攻撃など非軍事的手段を組み合わせた「ハイブリッド戦」への対処が要ると提起した。

21年版白書は台湾情勢の安定が日本の安全保障に重要だと記述した。今回は中国による台湾への圧力が一段と増しており、米国などと連携し「一層の緊張感を持って注視していく」とも強調した。

ウクライナ侵攻を受けて「既存の秩序に対する挑戦への対応が世界的な課題だ」と主張した。領土や主権を巡る国家間の争いで平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」が長期にわたって続く傾向があると唱えた。

中国とロシアの軍事協力の進展も詳述した。

日本周辺で艦艇の共同航行や爆撃機の共同飛行が相次いだ。ウクライナ侵攻後のロシアにとって「中国との政治・軍事的協力の重要性はこれまで以上に高まる可能性がある」と説明した。

ロシア軍は極東にも新型の地対空ミサイルなどの装備を置いたと紹介した。ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は「重大かつ差し迫った脅威」と記した。

政府は年末に国家安全保障戦略などを改める。厳しさを増す安保環境を背景に、白書は防衛費の増額へ理解を促した。

具体的には初めて国民1人あたりの防衛費の比較を盛った。日本は1人あたりおよそ4万円。オーストラリアや韓国、英国、フランス、ドイツの各国は7万~12万円で、主要国は日本の2~3倍程度だと力説した。

自民党は北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める「国内総生産(GDP)比2%以上」を念頭に、防衛費を増やすべきだと訴える。白書はこの水準にも触れて日本はGDP比が主要国で「最も低い」と書いた。

いわゆる「反撃能力」を巡っても、日本への攻撃を防ぐために必要最小限度の措置をとるのは自衛の範囲に含まれ、「先制攻撃」とは異なるとの見解を載せた。

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