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ガソリン高対策拡大 補助増額・減税浮上、手詰まり感も

政府はガソリン高への対策を拡大する。石油元売りに配る補助金の増額・延長のほか、ガソリン税を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も取り沙汰される。いずれも効果は限られ、手詰まり感が漂う。価格抑制を強めようとするほど、市場機能のゆがみや財源確保などの難しさも増す。困窮する中小企業や家計に絞った「賢い支援」が求められる。

岸田文雄首相は21日の衆院予算委員会で「トリガー条項(の凍結解除)も含めてあらゆる選択肢を排除せず、さらなる対策を早急に検討したい」と述べた。トリガーは「引き金」を意味する。レギュラーガソリン価格が1リットル160円を3カ月連続で超えた場合、25.1円分の上乗せ課税を止める。民主党政権時代の2010年度に導入した。

発動すればガソリンが25.1円、軽油が17.1円下がる計算だ。そのぶん安く買える。14日時点のガソリン価格は171.4円と6週連続で上がった。月平均は21年10月から160円を超えている。法改正で凍結を解除すれば速やかに適用できる可能性がある。ガソリン価格が3カ月続けて130円を下回るまで減税は続く。

凍結は、11年の東日本大震災の復興財源を確保するためだ。発動すれば国と地方で月1300億円の税収が失われる。もともと灯油や重油は対象外のため、凍結解除の効果は限定的との指摘もある。北海道などで需要の多い暖房用の灯油の値上がりは抑えられない。

ハードルが高い選択肢であることは否めない。萩生田光一経済産業相は同じ衆院予算委で「今の段階で解除することは考えていない」と話した。

もうひとつ浮上するのは元売り補助の増額だ。卸値を抑えるため1月末に導入した。ガソリン、軽油、灯油、重油と対象が広い。ガソリンの場合は店頭価格を170円程度に抑える狙いだった。

この制度も効果に疑問符がつく。想定外の原油高で支給額は既に上限の1リットル5円に達した。仮に全額が店頭価格抑制に回っても21日時点の価格は172円になる計算だ。

自民党は「5円の支援幅を大幅に拡充し、25円をも超える支援を迅速に講じる」よう政府に緊急提言した。経済産業省などは増額幅と延長期間の検討を急ぐ。このままガソリン高が続けば、21年度補正予算などで確保した893億円では足りなくなる公算が大きい。

当初は「時限的・緊急避難的な激変緩和事業」と銘打って3月末に終える前提で始めた。期間限定は早くもかすみ、延長した場合の終わり方は定まらない。価格介入の長期化で競争がさらにゆがむおそれがある。

原油高の影響は広範に及ぶ。どこまでの支援が国の政策として妥当で経済合理性にかなうのか丁寧な検討が欠かせない。農業や漁業、運送業などで本当に困っている事業者や家計に対象を絞るなどメリハリをつけなければ、際限のないばらまきになりかねない。一律の補助ではなく企業努力を評価し、公正な競争環境を維持する必要もある。

脱炭素の流れで油田や天然ガス田の開発投資が減り、化石燃料高は当面続くとみられる。対症療法には限界がある。再生可能エネルギーなどへの転換を急ぎつつ、一定の投資を保つ工夫も要る。

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