国民民主、22年度予算案に賛成 野党で異例の対応
原油高対策の首相発言を評価

国民民主党は21日、衆院予算委員会の採決で2022年度予算案に賛成した。岸田文雄首相が同日の衆院予算委でガソリン税の一時的な引き下げを検討すると言及したのを評価した。野党が政府提出の当初予算案に賛成するのは異例の対応となる。
22年度予算案は22日の衆院本会議で賛成多数で可決し参院に送付される見通しとなった。憲法の規定により21年度内の成立が確定する。
国民民主党の玉木雄一郎代表は衆院予算委に先立つ両院議員総会で賛成の方針を決めた。出席者によると前原誠司代表代行は反対した。
玉木氏は21日、首相がガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も検討する意向を示したのを踏まえ「首相から明確な方向性が確認できたので予算案には賛成する」と説明した。
「予算案に賛成しトリガー条項の凍結解除を勝ち取っていきたい」と話し、首相に政策実現を促していく考えを示した。「我々はあくまで政策本位だ。良い政策は良い、悪いものは悪いという是々非々の立場はこれからも変わらない」とも語った。
これまで国民民主党が当初予算案に賛成したことはない。過去10年で野党が衆院本会議で賛成したのは15年3月の次世代の党だけだ。同党は党名変更などを経て18年に自民党に吸収された。
与野党は一般的に国会での首相指名選挙や予算案への賛否を目安に区別される。立憲民主党の泉健太代表は21日、「予算案への賛否は首相指名と同じぐらい非常に重い。与党か野党かが問われるぐらい大きな採決だ」と国民民主党の姿勢に疑問を呈した。
首相は21日の自民党役員会で「予算案への賛成を与党として歓迎したい。国民民主党から今後、政策提言等の話もあると思う。聞く耳はもっていきたい」と強調した。
首相は21日の衆院予算委員会で「トリガー条項(の凍結解除)も含めてあらゆる選択肢を排除せず、さらなる対策を早急に検討したい」と述べた。
国民民主党は労働組合の中央組織である連合が支援する。同党議員の一人は「原油高が続くと企業の原資が減って賃上げの余裕がなくなる。トリガー条項の凍結解除は重要だ」と指摘する。
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