東京・大阪で大規模接種開始 「早く打てて安心した」
モデルナ製を使用

国の運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターが24日、開所した。予約した東京23区と大阪市の65歳以上の居住者を対象に、午前8時ごろから東京、大阪両会場で接種が始まった。東京、大阪両会場で初日は7500人を想定し、承認されたばかりの米モデルナ製ワクチンを集団接種に使う。
政府は7月末までに高齢者接種を終える目標を掲げている。両会場の大規模接種で補完をめざす。
東京会場は大手町合同庁舎3号館(千代田区)、大阪会場は府立国際会議場(大阪市)に設けた。初日に東京で5000人、大阪は2500人程度を受け入れる予定だ。
加藤勝信官房長官は24日午前の記者会見で「現在のところ順調に進んでいると聞いている」と述べた。
接種人数は順次増やし、31日からは最大の受け入れ能力である東京1万人、大阪5000人への引き上げをめざす。

東京会場では、午前7時前から接種予定者が集まり始め、7時半ごろには約40人が列をつくった。センターは午前8時の受け付けを30分前倒しした。
庁舎前の仮設施設で接種券や予診票を確認したうえで、一人ひとりにクリアファイルが渡された。ファイルは4色あり、各色に応じて庁舎内の4フロアに分かれて接種する仕組み。床も色分けし、ルートをわかりやすくした。
会場内では来場者が順次、看護師から接種を受けた。接種を終えた東京都江戸川区の女性(82)は「特に痛みはなかった。早く打てて安心した」と笑顔をみせた。
高血圧や軽度の糖尿病を抱えているが、区の接種予約は電話を100回かけてもつながらず、ネット予約はすぐに枠が埋まってしまった。この日は朝早くに会場入り。足が悪いため、娘が会社を休んで車で付き添った。
今年65歳を迎える杉並区の日本語講師の男性(64)は6月に区での接種を予定していたが、仕事で7月の海外渡航が決まったため「できるだけ早く1回目の接種を済ませたい」として区の予約はキャンセルし、大規模接種センターを選択した。
問診から接種、経過観察まで約40分で終了。「スタッフが進路などを分かりやすく説明してくれて良かった」と話した。

大阪会場も開場の午前8時になると、列を作っていた高齢者らは一斉に受付カウンターに向かった。
大阪市内在住の女性(74)は愛媛県などにいる孫とはコロナ禍で1年以上会っていない。「早く接種したいと思っていた。やっと孫に会えると思うとうれしい」と話した。
「スタッフはてきぱきと対応してくれてよかった」。午前8時台にワクチン接種を終えた同市生野区の女性(80)は会場での待ち時間もほとんどなく、無事に接種を済ませたという。
会場まで約1時間かかるため、近くのホテルに前泊した。「もう少し近くで接種できれば便利だった」とも話した。
問診や注射などの医療行為は医師・看護師資格を持つ自衛官「医官」と「看護官」らが担う。自衛隊が全国にもつ病院や基地から人材を集めた。民間の看護師も接種を補助する。
接種には厚生労働省が21日に承認した米モデルナ製ワクチンを活用する。自治体が使う米ファイザー製のワクチンと異なるため、国の会場で1回目を接種した場合は、2回目の接種も国の会場に来る必要がある。
東京会場は24日午前11時ごろ、大阪は午後1時ごろから31日~6月6日接種分の予約をそれぞれ始めた。予約対象を東京都・大阪府全域に住む高齢者に拡大する。1日あたり両会場で1万5千人程度、1週間で10万人超の予約を見込む。
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