参議院選挙で党首第一声 物価高や防衛費巡り論戦
参院選公示を受け、7月10日の投開票日に向けた18日間の政策論争が始まった。自民党は岸田文雄政権の9カ月の実績を強調し、賃上げの後押しを訴える。立憲民主党は物価高への政権の対策が不十分として消費税率の時限的な引き下げなどを掲げる。防衛費や憲法改正を巡っても見解が分かれる。
【参議院選挙の第一声】
首相は公示日となった22日、党総裁としての第一声で「新型コロナウイルス、ウクライナ、物価高といった時代を画する大きな課題をどの政党に託すかが問われている」と述べた。
物価高について「有事の価格高騰だ。万全の態勢を用意していきたい」と語った。新型コロナ対策の成果を振り返り「感染対策を最大限維持しながら、全国規模の観光支援策を展開するなど歩みを進める」と話した。
公明党の山口那津男代表は補助金や税制を使い「継続的に賃金が上がるよう手を打つ」と主張した。「学者やエコノミストを入れた中立的な第三者委員会を作り、裏付けのある数字を使ってあるべき賃金の水準を示す」と提案した。
立民の泉健太代表は政権の物価高対策の遅れや2022年度の年金支給額の減額を批判した。「物価は上がっているが、年金は下がり生活が大変だ。争点は物価だ。『岸田インフレ』。それぐらいに強い言葉で訴えないと政府が変わらない」と指摘した。

日本維新の会や共産党、国民民主党も軒並み消費税率の引き下げを求めた。維新は公約に中小企業向けの減税も盛った。国民民主は「インフレ手当」として1人当たり10万円の現金給付を打ち出した。
れいわ新選組は消費税の廃止、社民党は消費税を3年間ゼロにすると表明した。NHK党は消費税率も含めた税金や社会保険料などの引き下げを提唱する。
外交・安全保障政策も争点となる。自民は北大西洋条約機構(NATO)が国防予算をめぐり国内総生産(GDP)比で2%以上を目指しているのを踏まえ、日本の防衛費増額を公約に明記した。
維新もGDP比2%を目安に積み増すと表明している。公明は数値目標に触れていないものの「防衛力を着実に整備・強化する」と盛り込んだ。立民は「総額ありきではなく、メリハリのある防衛予算で防衛力の質的向上をはかる」と説く。
国民民主は宇宙など新領域を念頭に必要な防衛費を増額すると言及した。共産は「軍事費2倍の大軍拡を許さない」と提起した。社民は「ウクライナ危機に便乗した防衛力大幅増強の動きに反対」と言明した。
憲法改正について自民は「早期実現」を目指す。自衛隊に関し、維新は憲法に明確に規定する改正を促し、公明は明記を「引き続き検討」と表現した。国民民主は緊急事態条項の創設を要求し、共産や社民などは護憲の立場を唱えた。
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2022年夏の参議院選挙(6月22日公示・7月10日投開票)は岸田文雄首相にとって事実上、初めて政権運営の実績が評価される場となります。ニュースや解説、各党の公約、候補者情報などをお伝えします。