総務相に松本剛明氏就任 更迭の寺田氏後任

岸田文雄首相は21日、政治資金の問題で事実上更迭した寺田稔総務相の後任に松本剛明元外相を起用した。皇居での認証式を経て正式に就任した。この1カ月足らずで閣僚の辞任は山際大志郎前経済財政・再生相、葉梨康弘前法相に続き3人目となった。
相次ぐ閣僚の不祥事は政権運営に打撃となる。野党は閣僚交代を受け、経緯の説明を求めるとともに首相の任命責任の追及を強める見通しだ。
首相は21日、首相官邸で松本氏と会談した。松本氏について会談後、官邸で記者団に「国民に政治の信頼も示せる職責をお願いしたい」と述べた。起用理由を「税制や情報通信、行政改革など幅広い分野に精通し閣僚経験もある」と説明した。
寺田氏の任命責任に関し「重く受け止めている。山積する課題へ取り組みを進め職責を果たしたい」と語った。「政治の基本は国民からの信頼だ。政治家は絶えず襟を正し、点検しながら信頼にこたえていかなければならない」とも訴えた。
2022年度第2次補正予算案や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済を巡る法案については早期成立に意欲を示した。「政府は審議促進、早期成立のために全力で最大限の努力をしていきたい」と強調した。
松本氏は会談後、官邸で記者団に「総務相の職責は幅広い。国民の負託にこたえられるよう重責を務めたい」と話した。
寺田氏を巡っては後援会の収支報告書で故人を会計責任者にするといった不備などが相次ぎ明らかになった。野党から追及されて訂正と陳謝を繰り返してきた。
首相は寺田氏の後任の人選を閣僚経験者を中心に進めていた。松本氏は旧民主党政権で外相を務めた。民主党を離党後、17年に自民党に入り現在は麻生派に属している。
自民党の高木毅、立憲民主党の安住淳両国会対策委員長は21日午前、国会内で協議した。高木氏は寺田氏更迭を踏まえ「ご迷惑をおかけし申し訳ない」と陳謝した。
2次補正予算案は21日午後の衆院本会議で審議入りする予定だったが時間は遅れた。
補正予算案の成立が遅くなると、その後に控える旧統一教会の被害者救済を巡る法案審議も後ろにずれ込む。12月10日までの今国会の会期を延長することになれば23年度の予算案編成や税制改正作業にも支障が出かねない。