不妊治療の保険適用、体外受精などに拡大 厚労省検討

厚生労働省は21日、不妊治療への公的医療保険の適用を拡大する議論に着手した。これまでは一部の薬物療法や手術に限定していたが、体外受精などにも適用範囲を広げる。不妊治療利用者の自己負担を軽減し、少子化対策につなげる。年内にも具体的な範囲を決め、2022年4月から実施する。
同日開いた厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)で、22年度の診療報酬改定に向けた議題の一つに挙げた。
不妊治療の保険適用を巡っては、日本生殖医学会が6月にまとめたガイドラインで関連する治療や検査など113項目を評価し、「A(強く勧められる)」「B(勧められる)」「C(考慮される)」の3つに分類した。中医協ではレベルAやBとされた治療を中心に保険適用を検討する見込みだ。
レベルAには体外受精、勃起障害による男性不妊への薬剤投与など代表的な治療が含まれる。レベルBでは流産を繰り返した女性に対する受精卵の染色体検査などを評価し、条件付きで「有用だ」とした。
不妊治療に取り組む人は増加している。日本産科婦人科学会の調査によると、18年に体外受精で生まれた子どもは約5万7000人で、16人に1人が体外受精で生まれた計算になるという。20代など若い世代にも広がるが、体外受精に1回あたり平均約50万円かかるなど、治療費の高さが壁となっている。
菅義偉首相は不妊治療支援を少子化対策の柱に掲げる。政府は保険適用前の支援を強化するため21年1月に不妊治療への助成を引き上げた。2回目以降の治療に対する助成金の上限額を15万円から30万円に倍増し、所得制限も撤廃している。