高市早苗氏「質問しないで」発言撤回 予算委員長が注意
行政文書の答弁巡り

高市早苗経済安全保障相は20日、放送法の政治的公平に関する行政文書問題を巡る「信用できないなら、もう質問しないでほしい」との自身の発言を撤回した。これまで野党の撤回要求に応じなかったものの、自民党の参院予算委員長から注意され軌道修正した。
「質問しないで」といった発言は15日の予算委で言及した。立憲民主党の杉尾秀哉氏が行政文書を捏造(ねつぞう)とする高市氏の主張について「全く信用できない」と訴え、高市氏が答えた。野党側は「答弁拒否だ」と批判し、発言の謝罪と撤回を求めていた。
20日に撤回を求めたのは足元の自民側だった。
末松信介参院予算委員長が20日の予算委の冒頭で、高市氏の発言は「誠に遺憾だ」として注意した。高市氏は「重く受け止める」と述べたものの、謝罪や撤回はしなかった。
その後に質問に立った自民党の広瀬めぐみ氏がさらに畳みかけた。「与党の立場としても遺憾と申し上げざるを得ない。誠実な答弁を」と訴えた。

末松氏は答弁を終えて退席しようとした高市氏を呼び止め「(15日の答弁は)表現として全く適切でない」と重ねて注意した。
「閣僚が国会議員の質問する権利を否定するというのは大きな間違いだ」と語りかけた。「敬愛の精神を忘れている言葉だ。この部分だけはぜひ省いていただきたい」と伝えた。
高市氏は午後に再開した予算委で自身の発言の撤回を表明した。「国会の審議に迷惑をかけることは私の本意ではない」と述べた。「『信用できないなら、もう質問しないでほしい』という答弁のみ撤回させていただく」と発言した。謝罪はしなかった。
白鳥浩・法政大教授は「憲法63条に定める閣僚の国会への出席義務は、質問があれば答弁することも暗に含んでいる」と指摘する。「国会は国権の最高機関であり、行政府の閣僚は国会答弁を尊重すべきだ」と話した。