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エネルギー政策、諸富徹氏「資源高を構造転換の好機に」

参議院選挙2022「私の視点」(4)

参院選は7月10日に投開票を迎えます。日経電子版の「Think!」で日々のニュースに解説を投稿している各界エキスパートに注目点を聞きました。4回目のテーマはエネルギー政策。エキスパートは京大大学院教授の諸富徹氏と、国際環境経済研究所理事の竹内純子氏です。

諸富氏「先進国経済へカーボンプライシング不可避」

長期化するエネルギー価格の高騰を、脱炭素と経済成長に向けた構造転換のチャンスとして生かしてほしい。政府によるガソリン補助金は、炭素の排出が多い産業構造の転換を遅らせる。価格高のいま、政治家は国民や企業に新たな価格体系を受け入れるよう説得すべきだ。

ドイツが主導する「気候クラブ」は二酸化炭素(CO2)排出に値付けするカーボンプライシング(CP)導入による産業構造の転換で先進国が協調する。炭素の排出が多い国からの輸入品に関税をかける国境炭素調整措置(CBAM)などでも協力する。

日本が先進国経済に残るためにも、CPの本格導入は避けられない。2030年代までCP導入を先送りすれば、産業の新陳代謝は進まず、経済成長が鈍る。30年ごろには他の先進国でCPの価格体系や政策的な枠組みは完成する。

経済産業省が今秋に実証を始める自主的な取引市場「GXリーグ」は排出削減義務や罰則がない。欧米が導入する炭素税や排出量取引のような効果は期待できない。

25年ごろにはGXリーグから排出量取引への移行を始めるべきだ。排出量取引の対象外となる家庭や交通などを炭素税の対象とするのは一案ではないか。

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竹内氏「脱炭素や電力安定供給で企業任せ、厳しい」

近年の政策は電力の安定供給の価値がやや軽視されていた。気候変動対策の観点で再生可能エネルギーの導入を進め、採算が悪化した火力発電所の休廃止が進み、供給不足の要因となった。節電要請は電力需要を抑え、経済を縮ませる恐れがある。

50年に温暖化ガス排出量の実質ゼロをめざせば、化石燃料を燃やす発電所は使えなくなる。発電所は通常40年稼働させる。30年後の稼働を見通せないなら、民間企業は投資できない。脱炭素や資源の脱ロシアを民間のリスクで進めるには限界がある。

例えば、液化天然ガス(LNG)の安定調達は当面重要だが、政府は気候変動対策から30年度にかけて輸入量を減らす見通しを示す。ガス産出国は長期契約を望んでいる。企業任せでは交渉は厳しい。

電気料金の抑制、安全保障、気候変動の観点から原子力の活用は必要だと考える。依存度を下げるにしても、廃炉などに技術や人材の確保が必要となる。政治的に放置されてきた原子力政策の議論を急ぐべきだ。

天然ガスを液化して輸入する日本は抱えられる在庫が2週間分しかない。途絶のリスクがあり、備えは重要となる。大きな発電所への投資や燃料の調達は企業の体力があるほど有利だが、電力会社の再編は一部にとどまる。市場制度や事業体制を根本から議論すべきだ。

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参議院選挙2022

2022年夏の参議院選挙(6月22日公示・7月10日投開票)は岸田文雄首相にとって事実上、初めて政権運営の実績が評価される場となりました。開票結果やニュース、解説などをお伝えします。

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