国民民主党、参院選の公約発表 防衛費増・原発再稼働

国民民主党は20日、参院選の公約を発表した。専守防衛を前提とした「打撃力」の整備へ必要な防衛費を増額すると明記した。サイバーや宇宙など新しい領域の対処にも充てる。
ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ安全保障政策の強化を前面に打ち出した。「国民と国土を守る態勢を強化する」と強調した。「戦争を始めさせない抑止力」を高め「自衛のための打撃力」を整備する。
国民は2021年の衆院選の公約で「自衛隊の予算を不断に見直し、必要な対応をする」と記載していた。保守層への支持拡大を狙ってさらに踏み込む。

エネルギー政策は「安全基準を満たした原発は再稼働する」「電気料金の値上げと電力需給逼迫を回避する」と明示した。
次世代原子力の小型モジュール炉(SMR)を念頭に「リプレース(建て替え)をする」とも書き込んだ。党綱領で「原発ゼロ社会」を掲げる立憲民主党との違いを鮮明にした。
経済政策は積極財政の立場で家計や企業の支援拡充を打ち出した。燃料価格の高騰などに対応する「インフレ手当」として1人あたり一律10万円の現金給付の実施を提唱する。
賃金上昇率が消費者物価指数(CPI)の上昇を2%上回るまで消費税率を5%に下げると主張した。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も盛り込んだ。
企業のデジタルや環境分野への積極投資を促す政策などを提案した。中小企業は賃上げを条件に法人税や固定資産税などを減税する。
児童手当は受給者の所得制限を撤廃し18歳まで一律で月額1万5千円に拡充すると触れた。「教育国債」を10年間で50兆円発行し教育・科学技術予算を倍増すると訴えた。
国民の玉木雄一郎代表は同日の記者会見で「国内は積極財政、外交・安保やエネルギー政策は現実的にやるという組み合わせだ」と述べた。「新型コロナウイルスやウクライナの危機で(課題は)より明確になった」と話した。

2022年夏の参議院選挙(6月22日公示・7月10日投開票)は岸田文雄首相にとって事実上、初めて政権運営の実績が評価される場となります。ニュースや解説、各党の公約、候補者情報などをお伝えします。
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