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財政再建目標、堅持か緩和か 自民が2つの提言で対立

自民党は財政政策で2つの提言案をまとめた。総裁直轄の組織である財政健全化推進本部は19日、2025年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標の堅持を求めた。安倍晋三元首相が最高顧問を務める財政政策検討本部は17日に修正を要求した。

政府はPB黒字化を財政再建の目標に掲げる。自民党の提言を受け、政府は6月にもまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の調整に入る。

財政健全化推進本部が19日に示した文書案には「財政健全化の旗はおろさない」と記し、黒字化目標を維持する姿勢を打ち出した。最高顧問の麻生太郎副総裁は同日の会合で、ウクライナ情勢による国際金融市場の混乱に触れ「財政は国家の信用として最も大事だ」と強調した。

19日は提言案に様々な意見がでて、20日に再び会議を開く。

一方の財政政策検討本部は高市早苗政調会長の直轄機関として21年冬に発足した。積極的な財政政策を唱える幹部が多い。提言には「カレンダーベースでの目標設定がマクロ経済政策の選択肢をゆがめることがあってはならない」と指摘し「十分に検証するべきだ」と訴えた。

金融市場への認識にも触れた。「円安は日本経済にとって有利に働く。安定した円安傾向は国内投資を回復させ、国内への産業の回帰をもたらす」と盛り込んだ。

両本部は路線対立が鮮明にならないよう、文書作成にあたり安倍氏と麻生氏が意見を交わした。財政健全化推進本部の文書案にも黒字化目標について「内外の経済情勢を注視しながら検証する」と明記した。今後も検討を続けていくことでは一致した。事実上、結論を先送りにした形だ。

松野博一官房長官は19日の記者会見で黒字化目標について「政府の方針に変わりはない」と述べた。「今年1月の経済財政諮問会議において、現時点で目標年度の変更が求められる状況にはないことが確認された」と言及した。

政府が1月に示した中長期の財政試算では高成長が実現しても25年度は1.7兆円の赤字になる。内閣府は社会保障費の抑制などの歳出改革を通じて黒字化は達成可能と説明するが、高い経済成長が前提で現実的ではないとの指摘がある。

日本は新型コロナウイルス禍からの景気回復で米欧から遅れをとる。ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界でエネルギー価格が上昇し経済はさらに不安定な状況に置かれている。

自民党は防衛費を国内総生産(GDP)比で2%に引き上げる目標を唱える。脱炭素の取り組みや半導体などの経済安全保障に関わる重要技術の支援など、政府の支出増加が見込まれる分野は多い。

積極財政派は黒字化目標が景気回復や防衛力強化の足かせになるととらえる。一方、財政再建派は目標がなくなれば国債の増発に歯止めがかからなくなり、必要性の薄い「ばらまき」が増えると懸念する。

政府が目標とする25年度までは3年の時間がある。政府内では変更が必要か否かの本格的な議論は来年以降になるとの見方が大勢だ。

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