離婚調停、申し立て・協議をIT化 法制審が要綱案
通常国会に改正法案提出へ
法制審議会(法相の諮問機関)は20日、離婚や遺産相続の家事調停などにかかる裁判所の手続きをIT(情報技術)化する対策案をまとめた。申し立てや当事者間の協議、記録の閲覧をインターネットやオンライン会議で可能にする。書類や対面を原則としていた方針を改める。
2月に予定する法制審総会で斎藤健法相に答申する。法務省は1月23日に召集の通常国会に民事執行法や破産法、家事事件手続法などの改正案を示す。
債務不履行の際に財産を差し押さえる民事執行や遺産分割の調停など、裁判所が絡む幅広い民事関連の手続きをIT化の対象とした。
まず訴訟や調停の申し立ての書類を裁判所にインターネットで出せるようにする。現在は直接持ち込んだり郵送したりしなければならない。弁護士などの代理人にはネット提出を義務付ける。
裁判所から当事者に決定書などを送り返す際もメールなどの手段を可能にする。
当事者同士や裁判官を交えた話し合いをオンライン会議で開けるようにする改定も入れた。離婚調停では当事者が遠隔地に住む場合などに限って電話会議を認めてきた。この要件を撤廃しオンライン会議を広く使えるようにする。
申立書や合意書などの記録は電子データで保存しネット経由で閲覧できるようにする。現在は紙で保管しており、裁判所を訪れなければ確認できない。
民事訴訟を巡っては2022年5月に成立した改正民事訴訟法で手続きを一貫してIT化する制度変更が決まった。民事訴訟以外の裁判所での手続きにも同様の改正を広げる。