生物多様性COP、世界目標採択 30年までに陸海30%保全 - 日本経済新聞
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生物多様性COP、世界目標採択 30年までに陸海30%保全

カナダのモントリオールで開催中の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は19日に全体会議を開き、2030年までの世界目標を採択した。「生態系の損失を止めて回復に向かわせる緊急行動をとる」と強調した。地球上の陸域と海域のそれぞれ30%を保全区域に指定する「30by30」のほか、企業の環境負荷の開示を促すことで一致した。

合意文書では「動植物の25%が絶滅の危機にひんしている。人間による土地や海の利用、直接搾取、気候変動、汚染、外来種の侵入が影響を与える」と訴えた。森林や農水産物といった生物資源を持続可能な形で利用することを確認した。

世界目標には30年までに世界全体で海と陸の少なくとも30%を保全することを盛り込んだ。日本は国立公園などとして陸域の20.5%、海域の13.3%を保護している。

保全区域を増やせば土木工事を伴う開発の制限など民間の経済活動に影響する可能性がある。

大企業や多国籍企業、金融機関が環境に与える負荷を開示する仕組みづくりで各国が「法令や政策などの措置を講じる」ことも合意した。

投融資ポートフォリオや取引先などのサプライチェーン(供給網)を通じて生じる環境負荷も監視対象とする。最終消費者が生態系に配慮した製品やサービスを選びやすくする情報提供も奨励する。

先進国が実施する途上国の生態系保全のための資金支援を足元の年100億ドル(およそ1兆3600億円)弱から25年までに少なくとも年200億ドル、30年には同300億ドルに増やすことも決めた。民間資金も合わせて30年までに最低年2000億ドルを目標とする。

各国は今後、合意内容をもとに生物多様性に関する国家戦略を策定し、必要な国内法などを整備する。土地や水を保全して廃棄物を減らし、プラスチックなどの資源の再利用を進める必要がある。

先進国企業が途上国に生息する生物の遺伝情報を産業応用した際の利益配分も主要な論点だったが、結論を先送りした。作業部会を設置して議論を深め、2年後のCOP16で最終決定をめざす。

有用な遺伝子の塩基配列はデジタル情報として農畜産物の育種や医薬品開発などに応用されている。

カナダの代表者は「歴史的な合意文書だ。我々はきょう、非常に大きな一歩を進めた」と力説した。議長を務める中国の黄潤秋・生態環境相は「自然と共生する50年のビジョンと30年までに必要な行動について歴史的な合意に達した」と述べた。

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