コロナ全数把握見直し、高齢者の健康管理は維持 厚労相

加藤勝信厚生労働相は19日、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しに向けて迅速に対応する考えを示した。高齢者ら重症化するリスクの高い人の健康管理体制は維持したうえで、医療機関の負担を抑える方針だ。感染症法上の位置づけを見直せば、現在全額を公費負担しているワクチン接種を有料化する可能性もありえると明言した。
新型コロナは現在「新型インフルエンザ等感染症」に分類され、診断した医師は感染を確認したすべての患者について保健所に届け出する義務がある。足元の感染急増で医療機関や保健所の業務負担が大きくなり、作業を減らすよう求める声が現場で広がっている。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志も見直すよう提起していた。
加藤氏は同日の衆院厚労委員会の閉会中審査で、負担の軽減につながる全数把握の見直しに関して「専門家や関係者の話を聞きながらスピード感を持って対応していきたい」と語った。政府は月内にも具体的な方向性を決める。
全数把握の目的は感染状況や高齢者ら重症化リスクの高い人の健康管理だと断ったうえで「そうした機能をしっかり維持しながら現場の負担をどう軽減していくのか、スピード感を持って対応できる手法はなにか、専門家から話を聞いている」と述べた。見直しの具体的な時期は明言しなかった。

新型コロナのワクチン接種は現在、原則全額を公費でまかなっているため接種者の負担は生じない。位置づけを季節性インフルエンザのような「5類」に変更した場合は「まん延予防上、緊急の必要性がないとなれば(全額公費負担の)特例臨時接種が終了することになるだろう」と言明。患者の負担増の影響などを念頭に、慎重に検討を進める必要があるとした。
全国の新型コロナの新規感染者数は19日に過去最多を更新し、病床使用率も高止まりしている。加藤氏は「死亡者数の増加が懸念される」と危機感を示した。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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