旧統一教会の解散請求要件 首相「民法の不法行為も」
国会答弁を変更
岸田文雄首相は19日の参院予算委員会で、宗教法人法に基づく解散命令請求の要件について「民法の不法行為も入りうる」と述べた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応を巡り18日の衆院予算委での「民法の不法行為は入らない」との答弁を変更した。

立憲民主党の小西洋之氏の質問に答弁した。首相は「行為の組織性、悪質性、継続性などが認められ、法令に反して著しく公共の福祉を害すると認められる行為などがある場合には、個別事案に応じて判断すべきだ」と語った。
宗教法人法は解散命令について「法令に違反し著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などが確認できれば請求できると規定する。請求は過去に2例のみで、いずれも刑事事件が理由となった。
首相は18日の衆院予算委でオウム真理教への解散命令の際に裁判所が示した「刑法などの実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反」との決定に言及した。
「考え方を踏襲している」と語り、民法の不法行為は含まないとの解釈を提示していた。野党は「刑事訴追して確定判決を待つと何年もかかる」と反発した。
首相は19日の参院予算委で「関係省庁で集まり、昨日の議論を踏まえて改めて政府の考えを整理した」と変更の背景を話した。旧統一教会の責任を認めた民事判決の例があり、相談も多く寄せられていると説明した。
「個別事案に即して検討すると考えた際に、政府として民法も含まれるという判断にいたった」と話した。刑事事件の判決が出る前に請求の手続きに入る可能性を問われ「あり得る」と答えた。
小西氏は「朝令暮改にもほどがある」と首相を批判した。
永岡桂子文部科学相は同日の参院予算委で、旧統一教会に対する調査で資金の流れを調べるか問われ「大変重要なことだ」と強調した。