コロナワクチン接種間隔、3カ月に短縮へ 厚労省部会

厚生労働省の専門部会は19日、新型コロナウイルスワクチンの接種間隔を現在の5カ月以上から3カ月以上に縮めることを了承した。21日にも適用する。オミクロン型の感染が主流のなか、対応したワクチンを高齢者らが前倒し接種できるようにして、冬のインフルエンザとの同時流行に備える。若者など幅広い層の接種拡大が課題になる。
オミクロン型対応のワクチンは、米ファイザー製と米モデルナ製が実用化されている。接種間隔は欧州連合(EU)や英国では3カ月以上、米国は2カ月以上となっている。国内では5カ月以上の間隔をあける必要があり、政府は海外事例を参考に短縮する方針だ。
20日に開く別の専門家分科会後に、臨時接種の規則を変更する。早ければ21日から短縮した間隔で打てるようにする。
狙いは重症化リスクが高い高齢者らの接種を加速することだ。オミクロン型対応ワクチンの接種は、2回接種済みの12歳以上を対象に9月20日に自治体の会場で始まった。10月には自衛隊の大規模接種会場や一部企業の職場でも打てるようになった。
3カ月に縮まれば、従来ワクチンの4回目を9月に接種した人も年内に5回目を打てることになる。4回目の接種ピークは7~8月だった。8月に受けた高齢者は年をまたいだ1月まで打てず、年末年始に感染拡大すれば接種が間に合わない恐れがあった。
課題は、従来ワクチンの接種率が低い若者などへの対応だ。政府は10~11月に1日100万回の接種が可能な体制を整備し、年内に希望者全員を打ち終える計画。オミクロン型対応ワクチンの累計接種回数は10月19日時点で約274万人で、接種率は2%強にとどまる。
接種間隔を待っている高齢者は多くいるが、それ以外の世代の接種も広がっているとはいいにくい。低調ぶりを踏まえ、接種体制は過去の接種より縮小傾向にある。
自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場は現在、東京と大阪の2会場で1日あたり計1500人の予約枠を設けている。直近の10~15日の接種実績は1日あたり1174回で、枠が2割ほど余った。職場接種も12日までに申請があった会場は3回目の4分の1程度と滑り出しは低調に推移する。
自治体は、接種間隔の短縮に備えた対応を始めている。
横浜市は17日、6~7月に接種した約34万人の市民に接種券を発送した。これまでは接種から5カ月となる時期の3週間前に発送していたが、間隔短縮を想定して前倒し発送した。7~8月に接種した約50万人にも月内に接種券を送る。
北海道苫小牧市も、前回接種から3~5カ月となる約5万人の市民に11月中旬までに接種券を発送する準備をしている。市は「3カ月に短縮されても、年内には希望者全員の追加接種が完了する見通しだ」としている。
感染が一時のピークに比べて落ち着くなか、政府の思惑通りに接種が進むかが焦点になる。専門家はオミクロン型対応ワクチンの接種の進み具合が、同時流行の行方を左右するとみる。

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