10兆円大学ファンド、1校支援に数百億円 政府最終案

内閣府の有識者会議は19日、世界レベルの研究を担う大学を支援する10兆円のファンド(基金)の最終案をまとめた。文部科学省が2021年12月にまとめた制度案を踏まえて全体像を示した。支援校を「国際卓越研究大学(仮称)」と称し、1校あたり数百億円規模が必要だと明記した。
支援校の要件として①事業収入の年3%成長②「合議体」の設置③高い研究力――を挙げた。合議体は大学の執行部から独立し財務戦略の意思決定などの役割を担う。政府は国公立・私立大学から公募し、23年度にも支援先を決める。
国際卓越研究大学への支援とは別に、大学ファンドから博士課程学生への支援もする。当面は200億円程度と示した。
岸田文雄首相は17日の施政方針演説で大学ファンドに関し「研究力に加え、研究と経営の分離、若手研究者の登用など先端的なガバナンスを導入する大学を支援する」と述べた。
政府は2月までに最終案を総合科学技術・イノベーション会議で正式決定する。今国会に関連法案を提出する。ファンドは21年度中に運用を始め、24年度から運用益を配分する見通しだ。科学技術振興機構(JST)が設置し、資金の大半を財政投融資でまかなう。