民事裁判をIT化、改正民訴法成立 審理期間を原則7カ月
民事裁判をデジタル化する改正民事訴訟法が18日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。訴状の提出から口頭弁論、裁判記録の閲覧までIT(情報技術)で運用できるようになる。裁判終結までの期間を原則7カ月と定めて使い勝手も高める。
日本の民事訴訟は書面や対面での手続きが原則になっている。海外に比べIT化の遅れが指摘されており、デジタル技術を取り入れ国民が利用しやすくする。段階的に制度を導入し2025年度中の全面施行を目指す。
手続きのIT化は3つの柱がある。
1つ目が訴状のオンラインでの提出だ。従来は裁判所に持参するか郵送する方法が一般的だったが、インターネットを通じて出せるようにする。収入印紙によって納めていた手数料もATMやインターネットバンキングで支払い可能にする。
高齢者などネットに不慣れな人のために弁護士など訴訟代理人を付けない場合について郵送といった提出方法も残す。代理人にはネットでの提出を義務付ける。
2つ目はウェブ会議の活用だ。口頭弁論や判決の言い渡しにウェブ会議システムを通じて参加できるようにする。現行法では原告や被告、弁護士ら当事者は裁判所に直接行かなければならなかった。弁護士は地方出張が重なり業務の重荷になっていた。
判決文や訴状の記録の電子化も盛り込んだ。記録をデータベースで管理し、裁判の当事者に限ってネットを通じて閲覧可能にする。これまでは紙での保管が原則で、閲覧するには裁判所に行く必要があった。
裁判の期限も設けた。原告と被告の双方が認めた場合に、手続き開始から6カ月以内に審理を終え1カ月以内に判決を言い渡すようにする。当事者は審理の途中でも期限のない従来の裁判への切り替えを求められる。
これまで法律上で民事訴訟の期間を定めた規定はなかった。長引く裁判では審理が1年以上に及ぶケースも少なくない。審理期間の長さが訴えを起こす妨げのひとつになっているとの指摘があった。