19年の台風19号、地球温暖化で被害額5000億円増

英インペリアル・カレッジ・ロンドンとオックスフォード大の研究者らは、2019年10月に河川の氾濫や崖崩れなどで約100人の死者を出した台風19号について、地球温暖化によって暴風雨の被害額が5000億円増えたとする研究成果を公表した。現在より地球の平均気温が約1度低い産業革命前の気候に比べ、極端な降雨の発生確率が67%増えたという。
18日、科学誌クライメート・チェンジに論文を掲載した。
研究チームはコンピューターを用いた模擬実験で、気候変動の有無によって生じる台風の強度などの違いを解析する「イベント・アトリビューション」を活用した。台風19号の保険損害額100億ドル(約1.3兆円)のうち、40億ドル(約5200億円)が人為的な気候変動によって生じたとはじき出した。
大気が暖かいとより多くの水分を含むようになり、台風が発達しやすく、降雨が多くなりやすい。
国土交通省によると、台風19号は関東・東北地方を中心に計140か所で堤防が決壊するなど広範囲で被害が発生した。千曲川や阿武隈川の流域などで全半壊した住宅は4000棟以上、浸水被害は7万棟以上に上った。東京近郊でも観測史上最大の240ミリ以上の極端な降雨をもたらした。