首相、北方領土「ロシアが不法占拠」 原子力協定は維持

岸田文雄首相は17日の参院予算委員会で、北方領土について「ロシアによる占拠は法的根拠のない占拠で、不法占拠されている」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、日本の原則的な立場を示す「不法占拠」の言葉を復活させた。
首相が2021年10月に就任してから北方領土に関して国会で「不法占拠」と述べたのは初めて。首相は「こうした立場は引き続き変わりはない」と強調した。
ロシアとの平和条約交渉の前進を目指した安倍晋三政権は「法的根拠のない占拠」と説明した。岸田政権も当初は安倍政権と同様の表現を用いてきた。
首相はロシアのウクライナ侵攻後、北方領土について「我が国固有の領土」とも強調していた。以前は「我が国が主権を有する島々」と述べていた。
首相は17日の参院予算委で、ロシアとの原子力協定は続ける考えを示した。協定は原子力関連の技術などを平和利用を前提に日ロ間で移転できるようにする内容だ。
首相は「協定は相手国の核の平和利用に枠をはめる。日本の方から破棄することは逆に国際社会、なかんずくロシアに間違ったメッセージを発する」と説いた。「ロシアが協定を守ると言い切ることはできない現状だ」とも指摘した。