理財局長に国債のプロ斎藤氏 財務省、安定消化へ布石

財務省は17日、茶谷栄治主計局長が次官に昇格するなどの幹部人事を発表した。金融市場で話題となったのは斎藤通雄東海財務局長の理財局長への起用だ。国債管理政策のプロで「ミスターJGB(日本国債)」の異名をとる。日銀による大量の引き受けと低金利が将来途切れたあとの安定消化に対する警戒を映している。
茶谷氏は予算編成を担う主計官として東日本大震災のあとの復旧や復興の枠組みづくりを手がけた。後任の主計局長には安倍晋三首相時代の首相秘書官を務めた新川浩嗣官房長が就任する。次官、主計局長とも順当な顔ぶれとなった。新型コロナウイルス対策の巨額歳出で悪化した財政状況の立て直しが課題となる。
斎藤氏は国債の「エキスパート中のエキスパート」(財務省幹部)。市場で大量に売りさばくようになった1998年から2001年まで市場の制度整備などに関わった。旧大蔵省の資金運用部による買い入れ停止をきっかけにした98年から99年にかけての「運用部ショック」で長期金利が0.6%台から2.4%台に跳ね上がるのを目の当たりにした。10年から震災を挟んで13年まで国債政策の課長を務め、復興債の発行などを手がけた。
現局長の角田隆氏の1年先輩にあたる。東海財務局長を本省の局長に呼び戻すのも珍しい。世界的な金利上昇の波及や日銀の金融緩和の縮小などもにらみ、あらゆる事態に対応できるように経験豊富な国債市場の専門家を登用する。
政府は17日の閣議で財務省のほか、金融庁や防衛省などの幹部人事も承認した。夏の霞が関人事の第1陣となる。
金融庁は中島淳一長官、天谷知子金融国際審議官の体制が2期目に入る。旧大蔵省時代から銀行課に在籍するなど監督畑の経験が豊富な伊藤豊総括審議官が監督局長に就任する。業界に精通しており、地域金融機関の動向にも目配りする。監督局長を4年務めた栗田照久氏は総合政策局長に就き、金融機関のモニタリングの高度化を進める。
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