インドのモディ首相、G7広島サミット出席 日印首脳会談

【ニューデリー=竹内悠介】岸田文雄首相は20日、訪問先のインドで演説し「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた新たな推進計画を表明した。グローバルサウスと呼ばれる途上国のインフラ整備などを支えるため、日本が2030年までに官民で750億ドル(およそ9兆8000億円)以上を投じると発表した。
政府開発援助(ODA)を拡充し「質の高いインフラ投資」の原則を進めると訴えた。広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国による途上国への巨額のインフラ支援に対抗する。
途上国支援の一環で、同志国の軍への安全保障面での無償支援も進めると提起した。軍用資機材の提供などを見込む。
岸田首相はこれに先立ちニューデリーでモディ首相と会談した。5月に広島市で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待し、モディ氏も出席の意向を示した。会談時間は昼食会を含め計2時間ほどに及んだ。
ウクライナ情勢や中国の軍拡を踏まえ、法の支配に基づく国際秩序の堅持に関与すると確認した。両首脳が会談後の共同記者発表で明かした。
日印それぞれが23年に議長国を務めるG7と20カ国・地域(G20)が開発金融や食糧安保、気候、エネルギーといった分野で連携することで一致。2国間関係ではムンバイ―アーメダバード間の高速鉄道事業への3000億円の円借款に署名した。
海洋進出や軍備増強を進める中国を念頭に、安保分野での協力を話し合った。ウクライナ情勢を踏まえ、法の支配に基づく国際秩序の維持を確認した。途上国の食料不足や不透明な開発金融についてもG7とG20が協力して対処していく。
インドはグローバルサウスの代表格で影響力が大きい。岸田首相は会談で広島サミットに向けて協調を呼びかけた。日米欧が重視する国際秩序を保つようグローバルサウスに促し、伝統的にロシアと友好な関係にあるインドからも協力を得る狙いがある。
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