日印首脳「力による現状変更許さず」 ロシア侵攻を協議
人道危機に深刻な懸念
【ニューデリー=三木理恵子】岸田文雄首相は19日、訪問先のインドでモディ首相と会談した。岸田首相は会談後の共同記者会見でロシアによるウクライナ侵攻について「力による一方的な現状変更はいかなる地域においても許してはならないことを確認した」と明らかにした。
両首脳は共同声明をまとめた。「全ての国が武力による威嚇や武力の行使に訴えることなく、国際法に従って紛争の平和的解決を追求しなければならない」と明記した。
「ウクライナにおける紛争や人道的危機に深刻な懸念」を記し、適切な措置をとると一致した。原子力施設の安全の重要性に触れ「戦闘行為の即時停止を要求する」と表明した。
ウクライナ情勢は参加者を少人数に絞った場で議論した。岸田首相は「国際秩序の根幹を揺るがす深刻な事態で、毅然と対応することが必要だ」とモディ氏に伝えた。
モディ氏は会見で「地政学的な状況の進展があるとの課題が我々に突きつけられている。さらに印日のパートナーシップを強化することが重要だ」と強調した。会見ではウクライナ情勢への直接の言及はなかった。

インドはロシアと軍事、経済面で伝統的に協力関係にある。ウクライナ侵攻に関しては立場を明確にせず、国連安全保障理事会でのロシア非難決議案の採決は棄権した。
東・南シナ海で覇権主義的な行動を強める中国に結束して対応すると確認した。日印の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)は早期に東京で開催し、安全保障協力を深める。
両首脳はロシアのウクライナ侵攻で機能不全が鮮明になった国連安保理の改革に協力して対応すると一致した。
岸田首相は5年で5兆円の対インド投資を発表した。都市インフラ整備や日本企業の工場誘致を後押しする。
両首脳が対面で会うのは岸田首相が就任して以来初めて。