30年度に再生エネ36~38% 電源構成案、政府が最終調整
原発比率20~22%は維持、21日提示へ

政府は2030年度の新たな電源構成の原案について、総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%、原子力を20~22%とする方向で最終調整に入った。再エネの比率を現行目標から10ポイント以上引き上げ、原発比率は維持する。脱炭素電源で6割近くをまかない、温暖化ガス排出量の削減につなげる。
経済産業省が21日に開く総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の基本政策分科会で、国のエネルギー政策の方向性を記すエネルギー基本計画と電源構成の原案を示す。
今の30年度目標は再エネで22~24%、原子力で20~22%、火力で56%となっている。新たな目標の原案では再エネと原発以外に、温暖化ガスを排出しない水素やアンモニアによる発電を1%とし、火力は41%に減らす。
政府は4月、温暖化ガスの排出量を30年度に13年度から46%以上削減する目標を決めた。これにあわせて30年度の電源構成を見直し、排出量の4割を占める電力部門で対策を強化する。
具体的には太陽光発電の大量導入を進める。経産省は30年の発電コストが事業用太陽光で1キロワット時あたり8円台前半~11円台後半と、原子力(11円台後半以上)より安くなるとの試算を示している。もっとも、パネルを設置する用地として平地を確保するのが難しくなっており、実現のハードルは高い。
原発を巡っては現行目標を維持したものの、達成には電力会社が稼働を申請した27基すべての運転が前提となる。現状は10基のみの稼働だ。新たなエネルギー基本計画には原発の新設や建て替えについて記載しない。原発の発電量は先細りが懸念され、50年に脱炭素を実現できるか不透明だ。

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