かんぽ、郵政の出資比率5割下回る 新規業務認可不要に
かんぽ生命保険の千田哲也社長は16日、親会社の日本郵政の出資比率が49.9%(自己株除く議決権ベース)に低下したことを明らかにした。出資比率が5割を下回ったことで、新規業務についての政府認可は不要となり届け出で済むようになった。不正契約問題などで新規契約が落ち込む中、医療特約など保障性商品の拡充が急務となる。
16日の株主総会で、株主からの質問に回答した。郵政やかんぽ生命によると、9日に49.9%まで低下した。同日に武田良太総務相に報告し、新規業務の認可が不要になった。郵政の連結子会社であることに変わりはないという。
かんぽ生命は5月17日に約1億6290万株の自社株買いを実施。ほとんどを郵政から買い付け、同社の出資比率は50.04%まで低下していた。郵政はこれとは別に9日に55万9900株を信託を使い処分した。信託した株は議決権がなくなるという。
郵政民営化法は郵政の出資比率が50%を下回るまでは、かんぽ生命とゆうちょ銀行の新規業務は政府の認可が必要と定める。同法は郵政に対し金融2社の全株を早期に売却することも求めている。千田氏は残りの郵政の出資分の見通しについては「最終目標に向けて持ち株会社や関係者と協議して進める」と述べるにとどめた。
かんぽ生命は不正営業問題による営業自粛で新規の保険契約が落ち込む。4月に本格営業を再開したが、かつて主力だった養老保険などの貯蓄性商品は長引く低金利で魅力が薄れている。
郵政は21年度から5年間の中期経営計画で、かんぽ生命とゆうちょ銀への出資比率を中計期間中に5割未満とする目標を掲げた。ゆうちょ銀への出資比率は3月末時点で88.99%となっている。