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貿易赤字最大の3.4兆円 1月、対中輸出停滞や円安響く

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財務省が16日発表した1月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3兆4966億円の赤字だった。単月として比較可能な1979年以降で最大の赤字となった。円安と資源高で輸入が増えた。中国向けの輸出の停滞も響いた。

2022年8月の2兆8248億円の赤字を上回った。赤字は18カ月連続となる。15年2月まで32カ月続けて赤字になったとき以来の長さだ。

輸入は前年同月比17.8%増の10兆477億円だった。値上がりした石炭や液化天然ガス(LNG)、原油などの輸入額が増えた。原油の輸入価格は1キロリットルあたり7万3234円と前年同月比27.1%上がった。ドル建て価格の上昇率は10.5%で、円安が輸入価格をさらに押し上げた。

輸出は3.5%増の6兆5511億円だった。米国向けの自動車などが増えた。

輸出の増加は輸入に比べて小幅にとどまった。地域別にみると、中国向けの輸出は17.1%減の9674億円だった。1兆円を下回るのは新型コロナウイルスの感染が最初に広がった20年1月以来となる。自動車や自動車部品のギアボックス、半導体製造装置などが減った。

大幅な減少は「春節(旧正月)が早まったことが影響した」(財務省)。今年の春節は1月22日で、22年の2月1日より早かった。中国の物流や工場が止まる春節休みの間は日本からの輸出は減る。同国での新型コロナウイルスの感染拡大も響いたとみられる。

荷動きを示す輸出数量指数(15年=100)は対世界全体が77.2と前年同月比11.5%下がった。対中国が30.7%の大幅な落ち込みとなり、全体を押し下げた。対中国の低下率は09年2月以来の大きさだった。

円安や資源高による輸入の押し上げは一時期より和らいできたが、輸出の停滞が記録的な貿易赤字につながった。1月は日本の正月休みで輸出が減る一方、春節前の在庫確保のため中国からの輸入が増えやすい。赤字になりやすい季節性がある。

季節調整値でみると、輸入は前月比5.1%減の9兆6093億円、輸出は6.3%減の7兆7880億円だった。収支は1兆8212億円の赤字となった。

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