途上国支援に1170億円拠出 生物保護へ環境相表明

カナダのモントリオールで開催中の国連の生物多様性条約締約国会議(COP15)に出席している西村明宏環境相は15日(日本時間16日)、途上国の生態系保護を支援するために2023年から25年の3年間で1170億円を拠出すると表明した。
政府開発援助(ODA)の資金を生物多様性の保全につながる開発支援に振り向ける。湿地保護に関するラムサール条約、野生動植物の取引を規制するワシントン条約の拠出金なども積み上げる。
15日に始まった閣僚級会合で西村氏は「自然と共生する50年ビジョンのために必要な取り組みの実施を加速する。気候変動にも貢献する」と強調した。陸と海の30%を保護区域に指定する「30 by 30」を柱とする30年までの世界目標の採択をめざす。

世界の国内総生産(GDP)のおよそ半分にあたる44兆ドル(約6000兆円)が自然に依存しているとの分析がある。その自然が生態系破壊のリスクにさらされている。途上国は生態系保護の重要性に同意しつつ、先進国に対して資金や技術の支援を求めている。
企業の活動が環境に与える負荷に関する情報開示について議論する。途上国に生息する生物の遺伝情報を用いた農畜作物の育種や医薬品の開発で得た利益の分配の仕組みづくりに関しても話し合う。会期は19日まで。