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巨大ITの独禁法違反、審査初期から社名公表 公取委

公正取引委員会は巨大IT(情報技術)企業による独占禁止法違反の疑いがある事案の審査について、調査する初期の段階から企業名や事案の概要を公表する。一般の事案では審査を終えるか処分する段階で公表するが、デジタル分野の違反疑いは早期に公表し、情報収集を進める必要があると判断した。公表は企業活動に影響を与えるため、適正な運用が求められる。

独禁法違反の疑いがある事案への調査活動を「審査」と呼ぶ。公取委が16日、審査について今後の運営方針を公表した。独禁法の運用を見直す。古谷一之委員長は同日開いた記者会見で「特に変化の早いデジタル市場の懸念に対応するためには情報収集の体制・能力向上が必要だ」と強調した。

公取委は今の審査では、企業が証拠隠滅を図る恐れがあることや、企業活動に影響がおよぶ懸念があるため、手続きに入る段階での公表はしていなかった。処分時や審査終了時に事件の内容を対外的に公表していた。

最近は巨大IT企業がオンラインでの出店者などに対し、強い地位であることを利用して不利な取引を迫るといった事例が問題視されている。こうした事案で公取委が違反の疑いがあると判断した場合、広く公表したほうがほかに被害を受けた出店者からの情報が集まりやすい。

このため公取委は巨大IT企業に関係する事案については、必要に応じて審査の初期段階から企業名と違反疑いの行為を公開する。アプリ開発の事業者などから幅広く情報を集め、審査の効率を高める。IT企業には公表することを事前に通知する。匿名か実名かは提供者が選べるようにする。公開方法や基準などの詳細は今後詰める。

デジタル分野はビジネスモデルの変化が早く、水面下で時間をかける証拠収集では違反行為の是正に間に合わないという面もある。限られた企業が手を組むカルテルなどと異なり、巨大ITのビジネスモデルは広く知られているため、公表しても審査への影響は小さいと判断した。

欧州連合(EU)や英国、ドイツなどの競争当局も審査の初期段階から企業名を公表している。ただ、違反疑いがかかっている段階での社名公表は企業のブランドイメージなどに影響を与えかねない。公表の基準は明確にする必要がある。

独禁法に詳しい大東泰雄弁護士は「世間からは疑いが濃厚だと受け止められてしまい、企業活動への影響は大きい。公表する事案の選定を極めて慎重に行っていくべきだ」と話す。

公取委はほかにも、デジタル分野を中心とするM&A(合併・買収)の企業結合審査で、外部への意見聴取を必要に応じて前倒しで進める。公取委が毎年300件ほど手掛けている結合審査のうち、IT企業関連の割合が増えている。広く意見を募集して市場実態の把握に役立てる。

この方針に基づき、米マイクロソフトと米グーグルによる2件の買収事案についてそれぞれ意見聴取を始めた。

独禁法や競争政策の観点での問題を指摘する「実態調査」で得られた情報について、提供者の了承を得たうえで事件審査に活用する取り組みも始める。

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