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エネ転換で製造業後押し 経産省、6月に工程表

経済産業省は16日、クリーンエネルギー戦略の策定に向け有識者会合を初めて開いた。日本の製造業はエネルギー消費の7割を化石燃料や石油製品でまかない、二酸化炭素(CO2)排出量も多い。水素や再生可能エネルギーへの転換を促す工程表をつくり、成長と脱炭素化の両立につなげる。議論が停滞してきた原子力をどう活用するかも引き続き焦点だ。

会議設置は岸田文雄首相の指示にもとづく。首相は今国会の所信表明演説で「エネルギー供給のみならず需要側の設備投資なども一体的にとらえ、戦略をつくる」と表明。2022年6月のとりまとめをめざす。

政府は温暖化ガス排出量を30年度に13年度比で46%以上減らし、50年に実質ゼロとする目標を掲げる。これまでグリーン成長戦略(6月)、エネルギー基本計画(10月)を決めたが、示されたのはあくまで大きな方向性。産業界を巻き込み、より現実的で実効的な取り組みが欠かせない。

製造業のエネルギー転換の進め方が最大の論点だ。16日の会合では、「政策を早く出し予見性を高めないと企業はインフラ投資ができない」「デジタル化で無駄を省けば結果として排出量も減る」などの意見が出た。

日本のCO2排出量は19年度時点で10.3億トン、うち4億トン弱は産業部門からで鉄鋼と化学が7割を占める。会議では今後、多くの量を排出する産業の脱炭素化への工程表を検討していく。

経産省によると19年の製造業のエネルギー消費量のうち電力は21%。石炭は28%、ナフサは20%に上る。多くの化石燃料や石油製品を熱源や原材料に使っており、電力以外の脱炭素化も進めなければ排出量の実質ゼロ目標には到底届かない。

自家発電、脱炭素化も焦点に

例えば製鉄に石炭を使う鉄鋼の場合、1トンの製造で2トンのCO2が出る。化学だと石油製品のナフサを分解し1トンのプラスチックを製造すると3トンのCO2が出る。公的な支援に技術開発と原材料転換をどう組み合わせるかが課題だ。

目先の排出削減対策にも論点は残る。19年度の日本の総発電量のうち石炭火力は32%で、この4分の1は製造業の自家発電所による。エネルギー基本計画は30年度に19%まで石炭火力を減らす目標を打ち出しており、電力会社の石炭火力だけでなく、企業が持つ自家発電所でも脱石炭化を進める必要がある。

化石燃料にかわるクリーンエネルギーの供給拡大も実効性が問われる。会議は洋上風力や水素・アンモニア、蓄電池の市場規模を示すなどして投資を促す考え。海外から運ぶ際のインフラ整備の在り方について追加の議論が欠かせない。

30年度以降の原子力の扱いも引き続き焦点だ。エネルギー基本計画には「必要な規模を持続的に活用していく」と盛り込んだものの、政府として現時点で建て替えや新設を想定していない。30年度までは既存の原発の再稼働を進めるが、50年の脱炭素をめざすうえで原発をどう活用するか、将来像は曖昧なままだ。

製造業のエネルギー転換には大きな投資と時間がかかる。脱炭素化を進めなければ融資を受けにくくなったり輸出で不利になったりし、日本の産業競争力が低下する恐れがある。

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