手形決済期限の短縮要請 下請け保護へ公取委・中企庁

公正取引委員会と中小企業庁は16日、下請け事業者への支払いに使う約束手形の決済期限を60日以上に設定していた発注元の事業者に短縮を求めた。立場の弱い下請けへの支払いを先延ばしする商慣習を是正し、中小企業の資金繰り改善を狙う。
公取委と中企庁は同日付で連名の要請文書を発注元の事業者向けに出した。両省庁は2021年3月末にも手形支払いの期限短縮などを1400団体に要請していたが、同年7月の定期調査では発注元11万5000社のうち、約5000社が手形を現金化できる期限を60日以上に設定していたことがわかった。
手形支払いで受注側は商品の納入から代金確保までに時間差が生じ、資金繰りが圧迫される要因になっている。
下請法の運用ルールでは繊維産業で90日、その他業種は120日を超える長期の決済期限は下請法違反にあたる恐れがあるとしている。公取委は24年をめどに一律60日以内にするよう運用ルールの見直しを進めている。政府は26年までの手形利用の廃止を目指す。
原燃料費の高騰や人件費の増加で下請け中小企業の経営環境は厳しさを増している。公取委は独占禁止法の「優越的地位の乱用」の未然防止を図る対策調査室を16日付で新設したことも明らかにした。