浜田防衛相、反撃能力の検討伝達 米国「強い支持」

【ワシントン=重田俊介】浜田靖一防衛相は14日(日本時間15日)、国防総省でオースティン国防長官と初めて対面で会談した。長射程のミサイル保有を念頭に反撃能力を持つことを検討すると説明した。日本側によるとオースティン氏は「強い支持」を表明した。
2023年に日米で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、中国抑止に向けた戦略を協議する。
昼食をとりながら1時間35分ほど会談した。オースティン氏は冒頭「台湾海峡や日本海域における中国の挑発的な行動は不安定をもたらし、前例をみない」と非難した。そのうえで「統合抑止力や防衛協力の強化について話したい」と言及した。
浜田氏は年末にまとめる国家安保戦略に向け「反撃能力を含めたあらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化を実現する」と伝達した。

浜田氏が言及した反撃能力は長射程のミサイル保有が前提となる。日本政府は国産の12式地対艦誘導弾の射程を1000キロに伸ばし、1000発を超える規模で持つことを想定する。
南西諸島に配備するだけでなく、艦船や航空機にも搭載できるようにする。中国本土や台湾の周辺海域を射程に収める構想がある。
米国は中距離核戦力(INF)全廃条約に基づいて射程500~5500キロの地上発射型ミサイルを廃棄した。同射程の戦力で中国に劣後していた。
会談では音速の5倍以上の速度で飛ぶ極超音速ミサイルを迎撃する技術の共同研究を検討することでも一致した。
米国防総省は衛星を使って極超音速ミサイルを探知・追跡するシステムの構築をめざして米企業2社と契約した。防衛省も23年度予算の概算要求で技術研究を事項要求として計上している。
情報収集態勢の協力を進める。米空軍の無人機MQ9が取得した情報を日米共同で分析すると確認した。
米国による核の拡大抑止の信頼性向上を目指す。現在、日米は拡大抑止協議を審議官級で実施している。閣僚レベルでも議論を深めると合意した。
次期戦闘機の開発について議論した。日本は次期戦闘機を米国と共同開発する計画を改め、英国との共通機体とする方針に転換した。米国とは有人機の支援で使う無人機の協力を進める。
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