岸田首相「日韓の外交努力継続を」 元徴用工問題めぐり

【ワシントン=秋山裕之】訪米中の岸田文雄首相は14日(日本時間15日未明)、ワシントンで内外記者会見を開いた。韓国政府が元徴用工問題を巡り解決案を公表したことについて「外交当局がいま努力をしている。ぜひ続けてもらいたい」と語った。
日韓関係に関して「健全な関係に戻し、さらに発展させるため引き続き緊密に意思疎通をはかる」と主張した。韓国政府は同国の財団が日本企業に代わり賠償金相当の額を原告に支払う案を示している。首相は解決案への具体的な論評は避けた。

日中首脳会談「具体的に決まっているものはない」
5月に広島で開くG7首脳会議(G7サミット)の前に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談するか問われ「現時点で何か具体的に決まっているものはない」と答えた。「責任ある行動を求めつつ、対話を重ねないといけない」と訴えた。
防衛増税「国会論戦通じて説明を徹底」
首相は防衛費増額の財源を確保するため歳出削減などに加え、2024年度以降に複数年で段階的に増税する意向を表明済みだ。防衛力強化の内容や財源確保策について「野党との活発な国会論戦を通じて説明を徹底していきたい」と指摘した。
半導体輸出規制「米国や同志国と連携」
米国は中国への先端半導体関連の輸出規制の大幅強化を発表し、同盟国に協調を呼びかけている。首相は対応を聞かれ「米国や同志国と緊密に意思疎通し、取り扱いを考えていかなければならない」と説明した。
広島サミットで核兵器の不使用を発信
広島サミットで核兵器の不使用に関して発信すると表明した。広島、長崎への原爆投下から77年間、核兵器が使用されていない歴史に触れたうえで「ないがしろにすることは人類の生存のために決して許されない」と強調した。「法の支配に基づく国際秩序を堅持していく強い意思を示す」とも話した。
今回の外国訪問で欧米5カ国の首脳と会談を重ねた。「G7が結束して法の支配に基づく国際秩序を守り抜いていくとの連携を確認できた」と述べた。今回会談できなかったドイツのショルツ首相に関して「できるだけ早く意見交換の機会を持ちたいと考えている」と言及した。