柏崎刈羽原発、再稼働できず テロ対策不備で規制委命令
原子力規制委員会は14日、東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所のテロ対策の不備を問題視し、原発再稼働に必要な核燃料の移動や装塡を禁じる行政処分の是正措置命令を決定した。東電に対し原因究明と再発防止策を盛り込んだ報告書を9月までに提出するよう求めている。

14日午前に開かれた規制委員会で原子炉等規制法に基づき命令を決めた。東電には追加検査を実施する。
追加検査には1年以上かかる見通し。柏崎刈羽原発6、7号機は再稼働の前提となる規制委の安全審査に合格し、東電は再稼働を目指していたが、命令により原子炉に核燃料を入れる作業などができなくなる。規制委に改善したと判断を受けるまで再稼働できない状態が続くことになる。
規制委は午後にも東電に対し命令書を交付する。規制委は3月下旬に是正措置命令を出す方針を決めており、4月7日に東電は規制委に弁明しないと回答。今回の行政処分が確定した。
原子力関連の事業者に是正措置処分が出るのは、2013年に高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構に出して以来。一般の電力会社に出すのは今の規制委員会が発足してから初めてとなる。
柏崎刈羽原発を巡っては、テロの標的になりかねない放射性物質の防護体制の不備が相次ぎ発覚している。20年3月以降、人の出入りを監視する装置が故障し、代替となる対策も十分にとっていないことが規制委の検査で発覚。規制委は極めて深刻な問題として、4段階ある安全上の重要度のうち、最も重い評価を下した。東電社員が他人のIDカードを使い中央制御室に不正入室した問題も起きていた。
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