国交省の統計書き換え、点検時に認識も報告せず 検証委

国土交通省が「建設工事受注動態統計」を書き換えていた問題で、第三者による検証委員会は14日、報告書を公表した。過去に集計作業を点検した際などに一部で問題を認識していたが、幹部と職員間で情報を十分に共有せず責任回避のため問題を放置していたと指摘した。データの二重計上については政権に配慮して数字を大きく見せる「作為的な意図」は認めなかった。
国交省は報告書を受けて関係者の処分を検討する。不適切処理の背景には統計担当職員の慢性的な業務過多があったとの指摘などを踏まえ、適切な人員配置や専門性向上といった再発防止策も進める。
委員長の寺脇一峰・元大阪高検検事長が斉藤鉄夫国交相に報告書を提出した。寺脇氏は「統計業務の信頼回復のためにリーダーシップを発揮してほしい」と求めた。斉藤氏は「再発防止策に全力で努力する」と答えた。
「建設工事受注動態統計」は建設業の毎月の受注実態を示す。全国の約1万2000社を抽出し、都道府県を通じてデータを集める。本来は1カ月分の調査票を集めるところを、前月分など過去分も合算して処理するよう指示していた。
報告書によると、国交省は統計が始まった2000年4月分から合算処理する書き換えを指示していた。13年4月以降は推計方法を見直し、調査票を提出していない業者については推計値で埋め合わせる手法を導入した。この際に遅れて提出されたデータは除くべきだったが合算処理を続けたため、二重計上が生じた。
厚生労働省の毎月勤労統計の不正を受けて19年に政府統計の一斉点検を受けた際に、国交省の担当者が書き換えの実態を報告すべきだと考えたにもかかわらず、上司が消極的で放置していたことも分かった。歴代の担当者で「事なかれ主義」がまん延していたと断じた。
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