津波対策加速へ改正法成立 避難施設整備の支援拡充
北海道と東北沖の日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震対策の改正特別措置法が13日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。津波の危険が特に大きい自治体を「特別強化地域」に指定、避難施設整備に対する財政支援を拡充し、防災・減災対策を加速させる。
政府は特措法に基づき、最大規模の地震を想定して防災対策の推進地域を広げる。このうち特に対策が必要な自治体を強化地域に指定して、避難施設を整備する際の国の補助率を2分の1から3分の2に引き上げる。
強化地域は想定される津波の高さや到達時間などを基に、地元自治体の意見も踏まえて首相が指定する。南海トラフ巨大地震対策では「津波で30センチ以上の浸水が地震発生から30分以内に生じる地域」などが指定されたが、北海道や東北は積雪などで避難に時間がかかるため、基準を緩める方針だ。
特措法では積雪、路面凍結時にも円滑に逃げられる避難路の整備や、低体温症のリスクに備えた避難場所の防寒対策について、国と自治体が「特に配慮しなければならない」と明記した。
政府は防災対策の基本計画見直しも進める。死者数や建物の全壊数を減らす目標を設定。関係省庁や自治体は達成に向け、避難施設整備や円滑な避難に関する具体的な推進計画をつくる。
両海溝沿いの地震を巡っては、政府が昨年12月に被害想定を公表。マグニチュード(M)9級の巨大地震により、北海道や岩手県の一部では高さ30メートル近い津波が到達し、北海道から千葉までの7道県で死者数は最大19万9千人に上ると試算した。〔共同〕