コロナワクチン有料化を議論 リスク見極め判断 - 日本経済新聞
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コロナワクチン有料化を議論 リスク見極め判断

(更新)

厚生労働省は13日、新型コロナウイルスワクチンの公費負担について専門家を交えた議論を始めた。感染力や重症化率などのリスク評価や接種状況をふまえ、来春以降で有料化する時期を見極める。自治体からは早期に方針を示すよう求める声が上がっており、感染症法上の分類見直しと並行して検討を急ぐ。

現在、コロナワクチンは予防接種法上の「特例臨時接種」に位置付けられている。国がワクチンを製薬会社から買い上げ接種にかかる費用も負担する。2023年3月に実施期限を迎えるため、4月以降に延長するか、位置づけを変更するかを決める必要がある。

厚労省は13日、医師や自治体関係者などが参加する厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、議論に着手した。同日の会合では「緊急時対応を繰り返すフェーズから、持続可能な対応に切り替えていく段階だ」「重症化予防のための幅広い年齢への接種は今後も必要だ」といった意見が出た。

財務省は公費負担を早期に見直すべきだとの立場を示している。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は11月、コロナワクチンの接種費用について「特例的な措置は廃止すべき」だと提起した。同省の推計では接種1回の費用は約9600円。2021年度の接種回数は約2億5700万回で、国は2兆3396億円を投じた。

来春以降の選択肢の一つが、インフルエンザワクチンと同様に予防接種法上の「定期接種」に移行する案だ。インフルワクチンは原則として重症化しやすい65歳以上らを定期接種の対象とし、実費を一部払うことで接種を受けられる。無料で提供する自治体もある。64歳以下など対象以外の人が希望する場合、通常は自己負担が発生する。

新型コロナの感染は収束したわけではないので自己負担の導入には慎重論も予想される。13日の会合では委員から「自治体の準備が間に合わない」「接種対象や回数など検討課題が山積している」などと、来春の定期接種化は難しいとの指摘が出た。

従来ワクチンを用いた6カ月~4歳の乳幼児接種は10月下旬に始まったばかりだ。3月まででは保護者への周知期間が短く、唐突感も否めない。

予防接種法の扱いは厚労相が別の専門家組織で議論している感染症法上の位置づけの見直しとも関係する。コロナが同法上の「新型インフルエンザ等感染症」から、より低リスクな「5類」相当に移行させることになれば、ワクチンの有料化を求める意見が強まる可能性がある。

ただ同日の会議では委員から「5類になっても公費負担を続けることは可能」として、ワクチンの公費負担を継続することも選択肢とするよう求める声もあった。

感染症法上の分類を見直す際には、コロナ治療費に患者負担を導入することも論点になる。

厚労省は年明けに再び分科会などを開き、来春以降の措置を示すとしている。接種会場や打ち手の確保を続けるかどうか、自治体の対応に時間が必要になるためだ。

接種はすでに高齢者が中心になりつつある。9月にはオミクロン型に対応した新たなワクチンの接種が始まった。2回目までを接種済みの12歳以上が1回受けられる。接種率は全人口の26.4%、高齢者でも42.3%にとどまる。従来ワクチンを用いた2回目接種は全人口の8割に達していた。

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