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「コロナ疑い客」宿泊拒否可能に 厚労省、法改正へ

厚生労働省は新型コロナウイルスの感染が疑われる客の宿泊を拒否できるようにするためルールを見直す。従業員や他の宿泊客の安全や安心を確保し、旅館やホテル業界の経営改善を後押しする。今秋に召集する臨時国会に旅館業法の改正案を提出し、2023年の施行をめざす。

同省は14日、コロナ禍での旅館やホテルに関する制度見直しの方向性をまとめた。感染症の流行時に限り、発熱やせきなど感染症が疑われる症状をもつ客の宿泊を拒否できるようにする。

旅館業法は感染症の診断といった明確な証明がなければ、客を拒んではならないと定める。現行では従業員や他の宿泊客の安全確保が難しく、安定した運営との両立に支障をきたすケースが生じていた。

発熱症状がある場合に旅館やホテル側が客に医療機関の受診などを求め、正当な理由なく応じなければ宿泊を拒否できるようにする。症状のない客でも感染対策に応じなければ、拒めるようにする。

旅館やホテル業界はコロナ禍の需要減で大きな打撃を受けた。政府はルールを見直し、観光産業へのテコ入れと経済活動の早期回復を狙う。

観光庁によると、コロナ禍前の19年の国内旅行消費額は21兆9312億円だった。21年は9兆1835億円に落ち込んでいる。日本は感染拡大防止の観点で米欧に比べて厳しい水際対策を続ける。外国人客が早期にコロナ禍前の水準に戻るのは期待しにくい。まずは国内観光客の需要を呼び起こし、経済回復につなげる。

感染拡大時に事業者側が緊急対応しやすい仕組みも整える。チェックイン時に宿泊客が書く「宿泊者名簿」について、感染対策との関連が薄い職業欄をなくす。現在は法律上の記載項目となっていない携帯電話の番号といった連絡先を追加する。感染が確認された際、保健所などがすぐに連絡できるよう法的に位置づける。

感染症に関係なく「迷惑客」も新たに拒否できるようにする。対応が難しいサービスを繰り返し要求された場合などを想定する。「迷惑客」の判断基準といった詳細については、新たな指針を策定する。

今回の法改正と並行し、厚労省は宿泊客が差別を受けないようにするルールづくりを進める。例えば、がんなどの病気をかかえる人は体温が高めになることがあり、不当な扱いを防ぐための指針を定める。有識者から「がん治療に関わる症状や副作用などを理由に、宿泊を必要以上に制限されないようにしてほしい」との声が上がっていた。

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