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リスクに備え「財政余力確保を」 諮問会議で専門家指摘

政府は16日の経済財政諮問会議で、マクロ経済学が専門の米プリンストン大の清滝信宏教授ら有識者8人を招き中長期の経済財政運営について議論した。有識者からはリスクに備えて財政余力の確保を求める声が上がった。6月に決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に向け、今後も複数回開き、世界経済の減速懸念などの意見を聞く。

岸田文雄首相は同日の会合で「内外の大きな経済環境の変化にも強靱(きょうじん)な日本経済を構築していく必要がある」と述べた。有識者8人を招く討議は、諮問会議の「特別セッション」との位置づけで昨年末に首相が開催を表明した。

金融政策を含めたマクロ経済運営や「成長と分配の好循環」の実現、人口減を踏まえた目指すべき経済社会構造もテーマにする。

同日の会合では一橋大の佐藤主光教授が金利上昇圧力などをリスクとして指摘。「財政余力の確保」が必要と訴えた。清滝氏は財政の持続に加え、環境の持続に向けた炭素税の導入を求め、実現には「政治的指導力が必要」と主張した。

政府は政策経費を借金に頼らずにどの程度まかなえるかを示す基礎的財政収支の2025年度の黒字化を目指している。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「重要なのは目先の財政均衡を優先することではなく、長期の投資を行い停滞を一刻も早く克服することだ」と訴えた。

東京大の渡辺努教授は日本では商品の価格・賃金・金利について「凍結」状態にあり、弊害をもたらしてきたと指摘。このうち物価については「解凍の兆しがある」とした。物価の上昇をテコに賃上げを実現すれば、次のステップとして金利の凍結も解消されると分析した。

日銀の政策については東大の仲田泰祐准教授がインフレ率の持続的目標が達成されない場合に「目標値に対する考え方を更新すべきか否か」と触れた。渡辺氏は「緩和政策により短期金利・長期金利はゼロに張り付いたまま」と指摘。財政規律の後退やお金の借り手の質の悪化につながったと批判した。

物価上昇率の目標を2%と定める政府と日銀の共同声明(アコード)は諮問会議で検証することになっている。後藤茂之経済財政・再生相は「特別セッションで話すことは考えているわけではない」と述べている。

東大の福田慎一教授は「少子高齢化がより深刻になる前に対策が必要だ」と強調した。新型コロナウイルス禍からの回復で日本が遅れた要因に少子高齢化などをあげた。「構造改革を実現して将来不安を解消することが重要」と求めた。

学習院大の滝沢美帆教授は生産性向上に向け、人への投資などの「無形資産投資を増やす必要」があるとした。富士通のマルティン・シュルツチーフエコノミストは「デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の柔軟性とイノベーションを支える」と説いた。

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清滝信宏氏

ノーベル経済学賞の候補として米プリンストン大学教授の清滝信宏氏が注目されています。清滝氏は地価や株価の下落が貸し出しの低迷を通じて景気を悪化させる仕組みを理論化しました。

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