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米景気、デルタ型が冷や水 供給制約や消費に弱さ

【ワシントン=大越匡洋】米国経済の回復の勢いが鈍っている。夏に感染力の強いデルタ型の新型コロナウイルスが広がり、自動車関連の生産や物流網の目詰まりに加え、働き手の不足も深刻になった。供給が需要を満たせず経済の足を引っ張っている。足元の消費の弱さを指摘する見方もある。供給制約の長期化による高インフレが需要を冷やす悪循環も懸念される。

国際通貨基金(IMF)は10月の世界経済見通しで米国の2021年の成長率を6.0%と予測した。前回7月予測から1ポイントという大幅な下方修正となった。けん引役の米景気の減速を主因に、世界経済全体の成長率見通しも0.1ポイント引き下げた。

米経済は4~6月期まで2四半期続けて前期比年率6%台の高成長を遂げた。バイデン政権が3月に1.9兆ドル(約200兆円)の財政出動を決め、ワクチン普及をテコに経済再開を加速した。需要が急拡大し、米GDPは今年前半に危機前の水準を回復した。

その急回復に夏のコロナ感染の再拡大がブレーキをかけた。「コンクリート価格が数カ月で約2割上がり、資材価格の高騰が落ち着くまでプロジェクトを一時中断する建設業者が出ている」(セントルイス連邦準備銀行)。経済再開の主力の一つの飲食業でも人手不足が深刻で、営業時間を短縮せざるを得ないケースもある。

IMFも米国の下方修正の要因の一つに7~9月期の消費の弱さを挙げた。アトランタ連銀が月次統計を基に逐次改定する「GDPナウ」は8日時点、7~9月期の前期比年率の米実質成長率が1.3%に急減速するとの予測を示す。

米ゴールドマン・サックスは10日、10~12月期の米実質成長率の見通しを従来の5.0%から4.5%に下げ、21年通年は5.7%から5.6%に下方修正した。財政支出の縮小に加え「長期的に続くコロナ感染の影響を織り込むと、個人消費の回復はより遅くなる」と指摘した。

米調査会社コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数は9月、6カ月先を見通す期待指数が6.2ポイント低下した。米経済の回復を引っ張る消費者心理の悪化が景気全体に影を落とす。

米経済をふかす財政のアクセルは緩んでいる。民主党政権は子育て支援などに10年で計3.5兆ドルを使う法案の実現をめざすが、財源の多くは増税で賄うため、財政支出の純増は限られる。春に1.9兆ドルを一気に費やしたコロナ対策との落差は大きい。

世界からみれば米経済は強く、消費者物価指数(CPI)は8月まで4カ月連続で前年同月比5%以上の上昇率となった。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は21年の米成長率見通しを5.9%と6月予測から1.1ポイント下げ、逆に供給制約が緩む22年は0.5ポイント上げて3.8%を見込む。回復が後ろにずれるとの見立てはIMFと共通だ。

「消費者の期待値の低下は米国がすでに景気後退に入ったことを示唆している」。米ダートマス大学のブランチフラワー教授らは7日、こう指摘した。先行きの不透明感は増し、楽観論は後退している。

米連邦準備理事会(FRB)は近く量的緩和縮小(テーパリング)を始める。IMFは「前例のない状況下で金融政策の見通しに関する透明で明確な市場との意思疎通がより重要になる」と訴えた。

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