農業の脱炭素へ中長期目標 農水省が公表
農林水産省は12日、農林水産分野の脱炭素に向けた中長期目標を公表した。農機や漁船の電動化、ハウス栽培施設の太陽光発電導入に向けた技術開発などを盛り込んだ。2050年までに同分野の二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標の達成に向け、対策を進める。
同日開いた同省の戦略本部会合で戦略方針を決めた。農機などによる二酸化炭素の排出量は農林水産分野の約3分の1を占める。新たに販売する主要な農機の電動化や水素化を進める。電動農機を優遇する補助事業などを活用し、40年までに新規販売分は化石燃料不使用の機器に転換を促す。
脱炭素に関連する技術開発で今後5年間の工程表も示した。政府が4月に表明した30年度までの温暖化ガス削減目標の引き上げを反映した。農林業分野で扱う機械を電動化する技術の開発を進め、農機は24年度の実用化、林業機械は26年度の実証を目指す。水産分野では小型漁船の電動化の実証を早ければ26年度に始める。
野上浩太郎農相は同日の会合で「研究開発の推進など戦略の具体化を進めてほしい」と述べた。
太陽光発電の活用で荒廃農地の転用が進むが、食料の安定供給に必要な農地確保との両立も考慮する必要がある。脱炭素に向けては農機の電動化など太陽光以外の積み上げ策が重要になる。