ユニコーン5年で100社に 経団連、スタートアップ庁提案

経団連は11日、スタートアップ企業の育成に向けた提言を発表した。現在10社程度のユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)を2027年までに100社に増やす意欲的な目標を掲げた。具体策として法人設立手続きの簡素化や、関連政策の司令塔となる「スタートアップ庁」の設立を盛り込んだ。
同日、都内で記者会見した南場智子副会長(ディー・エヌ・エー会長)は海外諸国がスタートアップ育成によって経済成長の好循環を生み出していると指摘。「欧州は5年ほど前まで非常に保守的だったが急速に変わった。日本もこれが最後のチャンスだという危機感を持つ必要がある」と語った。
スタートアップ企業の数を10万社に増やす目標も掲げた。法人設立手続きの完全なワンストップ化など、起業しやすい環境整備を求めた。公共調達部門にスタートアップが入札しやすくするなどの具体策も盛り込んだ。
関連する政策が省庁別に分散している現状では「一元的な施策実施が可能だとは言いがたい」と指摘。「スタートアップ庁」のように司令塔機能を持つ組織の設立が必要だと提言した。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など公的マネーによる投資拡大も求めた。具体策として、海外ベンチャーキャピタル(VC)に有限責任を負うLP出資をする専門ファンドの設立などを挙げた。
提言は、起業環境の整備や投資マネーの呼び込みなど狭義のスタートアップ育成策にとどまらず、教育や人材採用といった幅広いテーマに踏み込んで政府や日本企業に意識変革を訴えた。南場氏は「新卒採用で一流企業に入らないと幹部になれない、という切迫感がまだある」と指摘。人材流動性を高めることの重要性を強調した。
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