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防衛装備、国主導で販路開拓 輸出拡大へ国際展示会

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防衛装備品の国際展示会「DSEI JAPAN」が15日、千葉市の幕張メッセで始まった。国内外の250社ほどが参加し17日まで開く。国主導で装備品の販路開拓を後押しし、海外輸出の拡大につなげる。

DSEIは英国で催されている展示会で日本版は2019年以来2回目となる。防衛省や自衛隊の元幹部らによる実行委員会などが主催し、防衛省や経済産業省が後援する。

各国の政府や防衛産業から前回より2割ほど多い1万2千人以上の来場を見込む。浜田靖一防衛相は「インド太平洋地域の安定を維持するため日本が1カ国でも多くの国々と連携を強化する」とのビデオメッセージをよせた。

防衛装備庁のブースには「多用途ヘリUH2」「16式機動戦闘車」を展示

防衛装備庁は極超音速誘導弾や無人機の開発といった防衛力強化の取り組みを紹介するブースを設けた。陸上自衛隊の多用途ヘリUH2や16式機動戦闘車の実機を並べて日本の技術力を売り込んだ。

日本と英国、イタリアの3カ国が35年の配備をめざし共同開発する次期戦闘機のコーナーも設置した。三菱重工業やIHIなども個別に出展した。会場には英国のウォレス国防相やウクライナのハブリロフ国防次官が訪れた。

政府は22年末に決めた安全保障関連3文書に装備品の輸出を官民一体で進めると記した。防衛産業に関して「防衛力そのもの」と説明した。

国内で必要な装備を調達、修理できるかはロシアによるウクライナ侵攻で重要性が浮き彫りになった継戦能力を左右する。撤退が相次ぐ国内産業への危機感を映した。

輸出促進へ「防衛装備移転三原則」の運用指針改定を協議

産業を支える一つの方策が輸出だ。装備品は販路がほぼ自衛隊に限られ利益率も低い。政府が14年に輸出の条件を緩める防衛装備移転三原則を決めて以降、完成品の実績はフィリピン向け警戒管制レーダーの1件しかない。

これまでも潜水艦やC2輸送機の輸出が浮上したが受注は実現していない。浜田氏は「政府が主導し、官民連携の下に推進する」と強調する。

政府・与党は4月の統一地方選後、防衛装備移転三原則の運用指針の改定を協議する。

殺傷能力のある武器の輸出先を共同開発・生産国だけでなく、日本と安保上の協力関係にある国や国際法違反の侵略を受けた国にも広げる案がある。政府は今回の展示会を日本の装備品や技術を知ってもらう好機と位置づける。

相手国の要求に合う改修のノウハウも要る。防衛装備庁の土本英樹長官は2月、バングラデシュの空軍大将を日本に招いて装備品に関するニーズを聞き取った。装備庁が海外の軍幹部を招請したのは初めてという。

韓国はきめ細かな市場調査による「オーダーメード型」の輸出で22年の海外受注額が前年の2倍を超えた。ウクライナの隣国のポーランドは韓国製の戦車や自走砲を購入する。

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