「集中治療医」3倍の7200人必要 学会、コロナ受け提言

日本集中治療医学会は13日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、重症患者の治療に当たる医師の育成強化を求める提言を発表した。学会は医師の経験や専門試験などに基づき、重症者治療を担う「集中治療医」を2127人認定している。提言では3倍以上の7200人が必要と試算。外科や麻酔科のように診療科の区分に「集中治療科」を設けることも提案した。
コロナ下で日本の医療体制が逼迫した背景について「人口当たりの集中治療室(ICU)病床数が少ないことが最大の問題」との分析を示した。感染拡大の第5波で重症者は大幅に増え、8月には19日連続で過去最多を更新したほか、全国で2200人を超える日もあった。9月12日時点で18日ぶりに2000人を下回ったが、入院できずに自宅療養中に亡くなるケースも目立った。
提言は、将来の感染症に備え、平時から計画的な人材確保を促す内容。人工呼吸器などに習熟した看護師の育成の必要性も示した。広域搬送や集中治療医による遠隔診療の重要性にも言及した。
日本のコロナ重症患者の救命率は6月末時点で8割で、体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)が必要なケースでも7割近い。5割程度とされる欧米に比べても高い。西田修理事長は「人工呼吸器やエクモに慣れていない病院で治療すると、救命率は一気に下がる」と懸念し、こうした対応ができる集中治療医の育成を訴えた。

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