休業支援金延長、厚労省審議会が異例の了承見送り
労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の雇用保険部会は10日、12月末まで休業支援金を延長する諮問を受けたのに対し、雇用保険財政に懸念があるとして答申に向けた了承を見送った。審議会が了承を見送るのは異例だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大規模な支出で財源が枯渇するなか、早期の一般会計からの財源投入を求めた形だ。
部会は有識者と労使の代表者らで構成する。厚労省は雇用調整助成金の特例措置と休業手当をもらえない従業員への休業支援金を現行の内容のまま12月まで延長すると発表しており、この日はまず休業支援金について了承を得る段取りだった。
同日の部会では経営側の委員が「収入確保策の議論がないのに、特例延長だけ示されていることは遺憾だ。直ちに答申するのは適切ではない」と発言した。労働組合側の委員も同様の認識を示した。部会は一時中断となったうえで、部会長が了承見送りを決めた。
コロナに伴う雇調金の支給決定額は5日時点で4.8兆円に迫る。すでに2021年度分の雇調金の財源は使い切り、他の事業の資金を活用してまかなっている。