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マイナ保険証、窓口での追加負担引き下げ 反発受け修正

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厚生労働省は10日、マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」について、受診時にかかる窓口での追加負担を10月から下げる案をまとめた。一般の3割負担のケースで初診時に21円の支払いを6円に下げる。従来型の保険証は9円から12円に上げる。マイナ保険証の負担を下げて普及を目指すが、追加負担への批判から修正を迫られた面もある。

中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に案を提示し、了承された。

今年4月から患者がマイナ保険証を使って受診した場合、医療サービスの対価にあたる診療報酬を加算する仕組みが導入されている。初診で70円、再診で40円を上乗せしており、医療費の3割を負担する患者の場合で自己負担はそれぞれ21円、12円増えた。

10月から始まる新しい加算は初診時の20円のみとし、窓口負担は6円に下がる。再診時の40円はなくす。一方、従来の保険証を持った患者がマイナ保険証に対応している医療機関を受診する場合の初診時の報酬は、現状の30円から40円に上げる。3割負担の患者で12円の窓口払いとなり、マイナ保険証より高くなる。

診療報酬は医療サービスの対価だが、患者から見れば負担となる。現在の加算だと初診時はマイナ保険証が21円で、9円の追加ですむ従来の保険証の方が少ない。

政府が普及を目指す仕組みを使うと患者負担が増す形となったのは、追加負担が医療の質の向上につながる対価として位置づけられたためだ。マイナ保険証には服薬や特定健診(メタボ健診)の情報が記録される。医療機関同士で共有すれば、よりよい治療に活用できる可能性がある。

しかし、電子カルテや電子処方箋を共有できるようになるのはこれからだ。追加料金を払っても、患者はメリットを感じにくい。そもそもマイナ保険証に対応している医療機関は7月末時点で3割に届かない。

マイナ保険証に対応する医療機関で従来の保険証を使うと、追加負担になっている。少額とはいえ、患者の理解を得られるものではなかった。

似たような事例は2020年に廃止された妊婦加算でもあった。慎重な対応が必要になる妊婦への診療を適切に評価するため18年に導入されたが、不適切な加算が相次ぎ、廃止が決まった。患者負担に鈍い厚労省の認識が浮き彫りになった。

マイナ保険証は海外の先進国に比べて大幅に遅れている医療のデジタル化の基盤とされている。厚労省は来年度から大半の医療機関に対応を義務化する方針だ。義務化の方針は6月に決まったもので、今の加算は義務化を前提としていない。

今回はマイナ保険証の体制整備を一層進めていく観点から、従来の保険証の負担を上げる。中医協では「ペナルティーであるかのように患者負担を上げることが理解されるのか疑問」(健康保険組合連合会)といった指摘も出た。

厚労省は医療機関への導入を進めるため補助を拡充する方針も示した。義務化に従わない医療機関は保険診療ができなくなる措置も検討している。国民に負担を求めるからには、医療機関は一刻も早く設備を整え、メリットを患者に示していく必要がある。

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