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議長国主導の脱ガソリン車、宣言に23カ国 実効性不透明

第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の議長国の英国は10日、ガソリンを使う自動車の新車販売を主要市場で2035年、世界で40年までに終えるとの宣言を発表した。欧州と南米が中心の23カ国と、自動車メーカー11社が参加。全会一致が原則のCOPで、コンセンサスを得る努力を欠いた議長国主導の「宣言」の手法や実効性を疑問視する声もある。

走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないEVなど「ゼロエミッション車」への転換を進める宣言に参加した23カ国は欧州が中心だ。英国は当初、24カ国と公表したが、参加国からウルグアイを削除した。

インドは宣言に賛同したが23カ国には含まず「ゼロエミッション車の普及加速のために集中的に取り組む」との内容にとどまった。宣言にはフォード・モーターやゼネラル・モーターズといった米国の大手自動車メーカーが名を連ねた。日本や米国、中国のほか、日本メーカーも個別企業としては加わらなかった。

そもそもこうした有志連合がどこまで実効性や正統性を持つのか見通せない部分もある。15年にパリで開かれたCOP21ではインドなどが太陽光発電を推進する連合を作った。80カ国ほどが参加するが、30年までに1000億ドルを超える投資の呼び込みを目指すといった動きにとどまる。

パリ協定は条約などと違い、緩やかな国家間の取り決めで、各国の温暖化ガスの排出量の削減も法的にしばられるものでない。例えば、途上国の環境対策のため20年から先進国が1000億ドル支援するとの約束も同年は果たせていない。

議長国の英国はCOP26で連日、有志の国・企業などの合意を発表し、成果をアピールしている。石炭火力の廃止では46カ国、化石燃料の海外での公的融資停止では20カ国超が合意した。本来はCOP全体で合意を目指す内容だが、意見が割れて賛同が得られないとみて対象を絞った形だ。

明星大の細川昌彦教授は「国際交渉で、有志国だけの合意は手段として珍しくない」としたうえで「従来と同じ主張の国だけで合意しても実効性はなく、気候変動問題なら中国やインド、ロシアが入らないと意味はない」と話す。

今回の自動車の宣言をみても対象地域はそれほど広がっていない。各国の自動車業界団体で構成する国際自動車工業連合会(OICA)によると、20年の世界の新車販売の台数で欧州と南米市場は約2割。今回の宣言には両地域で販売台数の多いドイツ、フランス、ブラジルは加わっておらず、さらに比率は下がる。

温暖化対策は多くの産業に影響する。伊藤忠総研の深尾三四郎上席主任研究員は「脱炭素はルールメーキングの戦いだが、日本は弱い」と指摘する。脱炭素化では欧州連合(EU)の議論が世界の標準になるケースも多く、有志国連合での議論がその後のルール策定に影響する可能性もある。

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