新築住宅の省エネ義務、25年度から適用へ 政府が工程表

政府は10日、住宅・建築物分野の省エネルギー対策の工程表を示した。戸建てやマンションなど新築住宅は2025年度から断熱材の活用などで省エネ基準を満たすよう義務づける。商業ビルなど建築物は段階的に基準を厳しくし、50年までの脱炭素社会の実現をめざす。
国土交通省などによる有識者会議が報告書案をまとめた。改正建築物省エネ法は、延べ床面積300平方メートル以上の新築のビルや商業施設に対し省エネ基準を守るよう義務づけている。新たに住宅や小規模ビルにも対象を広げるため法改正をめざす。
エネルギー消費量を定めた省エネ基準も見直す。すでに基準適合を義務化されている延べ床面積2000平方メートル以上の大規模建築物は24年度から、中規模な建築物は26年度からそれぞれ基準を引き上げる。現行よりエネルギー消費量を20%減らす方針だ。

太陽光など再生可能エネルギーの導入を促す。30年までに新築の戸建て住宅の6割に太陽光発電設備を導入する目標を盛り込んだ。個人の負担を減らすため補助制度や融資、税制などの支援措置を具体化する。導入の義務化は見送ったが「将来の選択肢の一つとして検討する」とした。
国や自治体が公共施設を新築する場合は太陽光設備の設置を原則とする。庁舎や学校、公営住宅などを想定し、実現に向けた課題を整理する。
省エネ性能の表示制度も整える。住宅販売や賃貸の広告などで物件の省エネ性能を開示する仕組みをつくる。まずは新築住宅を対象に表示を義務づける。建築物についてもウェブサイトなどで必要な情報を得られるようにする。
住宅・建築物分野の二酸化炭素(CO2)排出量は国内全体の34%を占める。政府は30年度に温暖化ガス排出量を13年度比で46%削減する目標を掲げており同分野でも対策を強化する。