「未合格原発」迫る40年期限、新制度移行で廃炉回避も

政府が検討中の原子力発電所の運転期間を延長する新制度を巡り、原子力規制委員会は16日、再稼働の安全審査に合格していない「未合格原発」の扱いを議論した。現行では原子炉等規制法で原則40年、最長60年の運転期間が決まっており、40年時点で未合格の原発は延長できず廃炉になる。新制度では未合格のまま40年を超えても審査を続け、合格すれば運転可能にする方針を確認した。
30年以上経過した未合格原発は国内に7基ある。東京電力ホールディングスの柏崎刈羽1号機(新潟県)は運転開始から37年、中部電力の浜岡3号機(静岡県)と日本原子力発電の敦賀2号機(福井県)は35年を超える。
特に柏崎刈羽1号機は再稼働の申請をしておらず、現行制度では期限切れによる廃炉が現実味を帯びつつあった。浜岡3号機と敦賀2号機は津波や地震の評価などに時間がかかっている。今回の制度改正により、現状より運転の可能性が高まるとみられている。

規制委が2日に了承した制度案では現行の40年という運転期間にはかかわりなく、30年を超える原子炉は10年ごとに経年劣化などを審査していくことが盛り込まれた。
この見直しは、規制委とは別に経済産業省が検討する運転延長の新たな仕組みに連動したものだ。これまでは電力会社は規制委に延長申請をしていたが、経産省に申請して認定する仕組みを想定している。実際に運転が可能な原発かどうかを規制委が審査するのは変わらないが、規制委としては10年ごとの審査を基本にすることにした。
事業者にとって原発を動かせる余地が増える半面、経営判断の難しさは増す。審査を通過する可能性の高さなども見極めながら再稼働を目指したり、廃炉を判断したりし、株主や地元などに説明する必要性が高まる。